新しい部署 (改)

ボクは、次の日早く起きて工場の近くのコンビニで、洗顔歯ブラシなどのセットと朝食を買って、品質管理2課に戻り朝食を取り、トイレで洗顔、歯磨きをし、2課に戻った。


彼女達は、時間になっても出勤して来なかった。

ボクは掃除をし、机の上やPCの回りのを整理したりしていた。

結局部署の二人が来たのは、15時過ぎだった。


「お疲れ様です、何かあったのですか?」


二人はボクを睨みつけ、紙袋を渡して来る


「私達知っての通り、男嫌いだから!あんたそれに着替えて!仕事して!

この部署にいる限り、その制服着用だから!」


ボクは紙袋の中を見た。これって女子の制服…

彼女たちはボクに早く着替えるように言ってくる


「何してるの早く着替えて!」


「わかりました。トイレで着替えて来ます」


「はぁ?何言ってるの!ここで着替えて!

あんた、女子トイレ使用許可されてるでしょ、それを確かめるから、私達の前で着替えて!

ちゃんと下着もね!着替える時は後ろ向いていいから、ほらさっさと着替えて!」


そんなぁ・・ こんなのいじめじゃん…


「ボクは一応抵抗した、制服はわかりました。でもここで着替えるって…これパワハラですよ」


二人は空を睨み文句を言ってくる


「はぁ?何言ってるの!仕事できなくなってここに来たんでしょ!

私達は仕方なく受け入れたのよ!

ここで仕事するならさっさと着替えて!」


ボクは仕方なく、彼女達から少し離れて後ろを向き全部脱ぎ、下着から身につけ制服に着替えた。

まさか着替えてるところを動画撮影されてると知らず、着替え終わると二人は満足したのか、また沢山の書類をボクの机に置き命令して出て行った。


「この資料、ここに書いた通りに仕分けして、こっちのPCで部品Aファイルに入力しといて、終わったら帰っていいから」


「わかりました…」


「私達は、あっちの部署と打ち合わせあるから、今日はそのまま終わったら帰るから」


「はい!行ってらっしゃい」


今日もか…この量を定時間際に渡されて、どうしろと…


これ完全にいじめだな…たぶん二人は会社にとって扱いにくい存在で、わざわざ彼女達のためにこの部署を作ったのかな?


だって、品質管理の2課って必要ないでしょ?

不具合部品とか、実物あるわけでもないし、部屋を見た感じ、PCでの書類整理だけの部署ってところかな…


課長は、ボクのために探してくれたけど、会社は、めんどくさいボクを、同じ存在の彼女達の部署に、放り込んだってところかな?

ボクが仕方なく、言われた仕事をしていると、部屋をノックする音がした。


コンコン


もうすぐ19時だよ、夜勤組以外会社には誰もいないはず、誰だろ…

ボクは扉を開けると、そこには保全課の浜辺さんがいた。


「え?浜辺さんどうしたの?もう定時過ぎてるよ?」


「心配で見に来たのよ、ここの部署の二人有名だから…

たぶんいじめられてるんじゃないかと…」


ボクは驚いた。

こんなボクを心配してくれる人がいるなんて思ってなかったから、正直嬉しかった。


「アハハ確かに、あの二人凄いね。

帰る間際に、この書類のPCへの入力するように言われて、やってるところ。

浜辺さん、わざわざ心配して来てくれてありがとう。

重労働じゃないから、ゆっくりやるよ」


浜辺さんは、ボクを見て話してくる


「一応課長にこの事報告しておくから、昨日も遅くまでやってたんでしょ?」


「はい・・」


浜辺さんはボクを見つめ話しかける


「そんなに重要でない資料、明日でいいじやん帰ろ!新川さん」


「いいよ、言われた事やってから帰るから、でないとまたあの二人に… 」


浜辺さんは、ボクにする必要ない、そんな入力無駄なことだからと、ボクに帰るように言ってくれたが、ボクは何とか説得して帰ってもらった。

浜辺さんは、帰り際に一言言って部屋を出ていった。


「今日は帰るけど、何とかしてあげるから…」


バタン


え?何とかって…

あんましあの二人、刺激してほしくないんだけど…

ボクは、この後入力作業を続け、何とか終電で間に合って自宅に帰った。


彼女達の嫌がらせのような仕事は、その後も続く、浜辺さんは課長に報告してくれたが、会社としてはこのままがいいみたいで移動はなかった。


でも浜辺さんは、ボクの事を考えて、宿直室の使用許可をもらってくれて、ボクは、嫌がらせのような、定時間際に出される大量の仕事をこなし、宿直室に泊まる。

そんな事を数日繰り返していた。


ボクは、日々二人のパワハラに耐えるも精神的にも疲弊し、とても連絡取れる精神状態でなく真帆との連絡も減っていった。


ボクはこのままなら真帆との関係も自然に消滅するものと思っていた。

ボクの精神的疲弊もひどくなり、ある時を境に、電話もLI〇Eのやり取りもしなくなった。


ボクは、これでいい彼女とは住む世界も違うし、真帆のような素敵な女性は、ボクみたいなチビじゃ似合わないと思い忘れるように仕事に打ち込んだ。


 こんな状態が数日続き、ボクは肉体的疲労より、精神的疲労がかなりヤバイ状態にあった。

そんなボクの状態を知り、後藤課長がいろいろ動いてくれた。

ボクは、後藤課長の提案してくれた事を、受け入れることにした。


「新川今のお前の状態では、会社は邪魔者扱いでずっとこのままだ。

だからお前のために、グループ会社で受け入れ先を見つけた。

そっちに行けば、今よりましになるはずだ。

人事部長にも話しは通して連絡してもらっている、どうだ!」


ボクは、その話を受け入れることにした。

そして、いろいろ手続きをして、ボクは会社を退職した。


破格の対応だった。退職金の増額と早期支払い、退職までの給与も計算後、翌日振込と、会社がここまでするとは思わなかった。


後で聞いた話で、後藤課長が人事部長を半分脅したらしい、新川の受けたパワハラセクハラ行為を、会社が黙認し対処しなかったと。



ボクは、会社を出て久しぶりに帰宅した。

やっと解放された…


課長にはほんと感謝しかない…

浜辺さんも…ここ数日の事あの二人の起こした問題も全て浜辺さんがいなかったらボクは完全に潰れていた。


彼女には、落ち着いたら連絡するって言ってあるから、新しい生活におちついたら連絡しよ。


ボクは、携帯を取り出した。

毎日のように来てる、真帆のメッセージを見る。


真帆も忙しいのにありがとう…


ボクは、いつものそつけない返信ではなく、今日は家にいることを伝える。

疲労もあり、メッセージを打ち終えると同時に、意識がなくなっていた。


どれくらいたったのだろう…


電話の着信音で目が覚め、通話にすると、電話の向こうで真帆が、わんわん泣いていた。

真帆は、すぐにこっちに来るといい、住所教えろと言って来たが、断った。


一人暮らしの男の家に、しかもこんな小さいボロマンションに呼ぶわけにも行かなかった。

こっちから出向くことで納得してもらい、外で会うのではなく、真帆のマンションに行くことになった。


 でも、ボクはてっきり一日のLI〇Eのメッセージも減っていたから、自然消滅かなと思ってたけど、なんか前より熱が上がってるような気がする。


ただ前と違うのは、真帆の所属が変わりCMや雑誌に多く見るようになり、かなりの知名度が上がっていた。


真帆が、電話でそのまま普通にマンションに来たら、空に迷惑かかるから、タクシーで地下駐車場に来て、そこから連絡くれたら、駐車場の居住者用入り口開けるから入ってきてとの事。


やっぱ行けないよなぁ…


彼女とは住む世界が違い過ぎるし、真帆の容姿とボクじゃ、つり合いがとれないよ

身長も低いし顔も女の子見たいだし、それにこの脚完治する可能性低い見たいだし、杖がいる身体ってダメだよ真帆に苦労をかけてしまう…


 ボクは、真帆のマンションに向かわず、部屋の荷物をカバンに詰め込み、不要な家具は処分してもらう手続きをし、ボクは駅に向かった。


ただ見つかるとまずいから、用心してドンキでコスプレ衣装を買って、ウイッグをつけ、女子高生の制服に着替えカバンをリュックに代えて、荷物を詰め替えて東京駅にむかった。


ただ気になるのは、少しリュックが大きいことだけ… 大丈夫だよね



 ボクは、携帯のアプリLI〇Eを起動させメッセージを書き込む、真帆が心配しないようにほんとの事は伝えずに…



【真帆、いろいろ心配かけてごめん、ボクはこれから別会社に移動になり今から移動します。

真帆の活躍を見て嬉しくて、この人をボクは助けたんだ、と自分を褒めてました。

真帆は素晴らしい素敵な女性です。

ボクみたいなチビにはふさわしくなく釣り合わないです。

真帆と過した日々忘れません、楽しかったよ♪ありがとう真帆、さようなら・・】


 真帆さよなら・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る