第2話職場復帰した空は・・(改)

 ボクは自宅に戻り、荷物や郵便その他もろもろを整理し、明日に備え就寝した。


次の日少し早めに家を出たが、杖を突きながらの慣れない歩行のため、駅まで時間がかかり、予定の電車に乗れず、結局会社に着いたのはギリギリだった。


 関係部署と保全課長に、お詫びと状況を説明した。保全課長もボクの身体の状態を見ていろいろ考えているから今日はとりあえず今の部署で作業をしてくれと言われた。

ボクの担当部署に行きいつもの仕事をこなそうとしたが、機器の修理の仕事は今のボクでは出来ることが少なかった。

サポートしてくれてる人達はいろいろ手伝ってくれて何とかこなせていた。


『サポートしてくれてる人はボクを支えてくれて助かってるけど、はぁ・・これはどうしようもないなぁ・・倒れそうになる度身体を抱きとめられる何てホント情けないよ。

握力もなく足も力の入らない状態ではこの部署は無理だ・・課長に話そう』


ボクは課長に午前中作業を行った結果を素直に伝えた。するとボクにサポートをつけるからその者に作業工程内容を教えろと言われボクは部署に戻りサポートに来た者にその事を伝えた。


ボクは部下にサポートされながら、教えて行った。その子も覚えが早く何とか簡単な作業はマスターしてくれた。


『うーんなんかボディータッチ多い気がするけど・・この身体だから仕方ないか、片手で支える事が出来ないし迷惑をかけてるけどみんな嫌そうにしていないのは何で?

まぁ何とか作業工程も覚えてもらったし、移動になっても大丈夫かな・・』


そう思ってたら課長が呼びに来た


「新川!話がある来てくれるか!」


「はい… 」


ボクは、保全課の打ち合わせ室に入り、課長から部署の移動を言われた。


「新川、今の身体の状態では、これまでの業務を続けるのは無理そうだな、保全課もそんなに人員に余裕があるわけでない。

それで申し訳ないが明日から、品質管理2課に行ってくれるか、あそこなら今の新川でも十分できる。今の部署で何かあればお前の所に聞きに行くようにも言っておく」


「わかりました。」



ボクは部署で移動のため私物をまとめてると、保全課の報告書をまとめてる女性社員浜辺さんが近づいてくる


「新川さんよかったね、課長に感謝しなさいよ!

私もずっと心配してて課長に言ったのよ、新川さんセクハラされてるって」


ボクはその事を聞き驚いた


「え?セクハラ?ボクが?誰に?」


「その感じだとわかってないわね」


「新川さんメンテナンス中力が入らないからずっと誰かに身体触られてたでしょ?」


そう言えば…俺がサポートしてやるとか、持ってやるとか言ってくれてたあの事?

浜辺さんは頷きボクの前にレコーダーを置く


コト


「これ保全の休憩室で記録した音声よ」


『おい!触ったか?』

『おう♪あいつの身体柔らかくて気持ちいいなぁ』

『俺もビックリだぜ!あれ完全に女の身体だぜ!』

『あいつ小さいけど胸あったぞ!』

『マジか!俺も触って見よ!』

『しかし最高だな文句言われねえって』

『ああ訴えられる心配もねぇ最高だな』

『あいつ助けてもらってるって思ってるから気がついてねぇからハハハ』


「そんな… 」


「どうわかった?この事を課長に報告したの。

課長が急ぎ関係部署の部長に相談して急遽、さっきの部署に移動できるようにしたのよ。

普通ならあり得ないけど緊急事態だと!課長が掛け合ったのよ」


「浜辺さん… ありがとう でもボクとあんまし話しとかしたことないのに…」


「私ね、ずっと見てたから新川さんが遅くまで頑張ってたの。

だからそんな一生懸命な新川さんを、あいつらが汚い手でハラスメントするなんて許せなかった!

だから課長に言ってやったの…

『ボソボソ私の可愛い空に手を出すなんて許さないんだから…』」


「ボク全然わからなかった、浜辺さんほんとありがとう」


「部署移動したら遊び行くから」


「わかった」


ボクは保全課のみんなに、この身体の事で急きょ移動になった事を告げると、ボクにセクハラしてた連中が騒ぎだしたが、ボクは無視して新しい部署に移動した。


品質管理2課…ここがボクの新しい部署


コンコン


「失礼します、この度品質管理2課に移動になりました、新川空です」


挨拶をして顔をあげると、二人の女性がいた。


「はい!聞いてるからあなたの席はそこね」


「男って聞いてたのに女じゃん!まぁいいわ、仕事の説明するから座って!」


なんかこの人達怖い・・


「はい!」


ボクは、二人を見て嫌な予感しかしなかった。二人は内容を説明するたび声を荒げる


「わかった!聞いてる!」


「はい!」


この2課の主任木崎さんが書類をボクの机に置く


ドスン


「じゃ今日中にこの書類分類してパソコンのデータベースに入れて!」


置かれた書類はとても一人でこなせる量ではなかった。

しかも現場からの書類は人によって読みにくく整理が大変なのにそれを記録伝票だけでもぱっと見百冊以上を一人で何て無茶だ・・


「え?これ全部ですか?」


ボクが確認の問いかけに怒り口調で答えて来る


「はぁ?何か文句あるの!」


「いえないです…」


もう一人の女性荒井さんもUSBメモリーを渡してくる


「はい!この中に明日の会議に提出する不良部品のロット番号リストあるから、2020年度ADラインと、GSラインの分類して全て表にまとめ提出して」


この人も何無茶行って来るの?さっきのでもいっぱいなのに・・それに時間が定時過ぎる


「え?あの今日は移動だけで仕事は明日からと言われましたけど・・それに定時過ぎましたし…」


すると彼女達は怒りだす


「はぁ!何言ってるの!強引に移動して来たくせに!ここはね!

私と留美の二人だけの部署だったのよ!それを怪我して、力仕事できないからって入って来て!

私達二人の邪魔するんだから覚悟しなさい!」


えー-!何言ってるのこの人


「そうよ!何急に来たくせに仕事は明日から、はぁー!

ふざけんじゃないわよ!

さっきの仕事全て明日の朝までやれ!」


この人も無茶苦茶だ・・


「わかりました… 」


不具合部品の報告書類、各ライン工程管理と伴う人員配置表・時間ロスト…など工場の15ライン分全てA4150枚全て入力…

USBの方は20年度分の、二つのラインの不良部品のロット番号リストを表にして提出かぁ …


徹夜すれば何とかなるかな、ほんと無茶苦茶だよなぁ…

ボクは、やり慣れないデスクワークを黙々とかたずけていった。


カタカタカタカタ…

フゥー


「何とかなったなぁ…」


気がつくと時間は深夜1時を過ぎていてボクは驚いた


えー-!こんなに経ってたんだ


これはまずい、携帯を恐る恐る見ると真帆からの着信が30件!

LI〇Eにもメッセージが30件アハハ


とりあえず、時間も遅いしアプリに書き込んでからこの部署の応接セットのソファーで寝よ


 この状況を言うのまずいから真帆にはごまかして伝えるか…


『ごめん遅くなって、やっぱめちゃ仕事たまってて、今おわった。

明日も遅くなると思うから、終わったらこっちから連絡するね』


これで送信っと


ピッ


 え!既読って起きてる?


 すると携帯が鳴り、通話にすると


「空のバカ!心配したんだからね!グスン・・」


 それから真帆が納得するまで1時間電話し電話を切る2時かはぁ・・


疲れたぁもう寝よ




 

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