第45話空と菫の思い

「ではお話させていただきます。

私と楓は、10年前わたしの実家の奈良に住んでいました。

その時、楓が行ってた高校が、新川君も行ってた高校だったんです。

そこで二人が出会いました、形は最悪でしたけど・・

皆さまのその様子だと、ご存じのようですが・・」


風香が、真帆たちがしゃべろうとするのを抑え話し出す


「私は、現在警視庁に勤務する、警察幹部です。

空の事は、別の事件もありいろいろ調べ、高校時代の事も知っています。

もちろんここにいる者、空を家族として迎えてますので、全員知っています。

家庭内での虐待、学校での暴行も全て・・

その一番酷い、高校時代の事を知り、空が菫さんに向ける、その強い思い教えて下さい。

高校時代に何があったのか・・」


すると楓が話を始める


「私は、空くんを虐めてた、加害者でもあり被害者です」


その発言に梨香たちは驚く


「空が加害者?信じられない・・・」


「心配しなくても、皆さんの信じる空くんは変わってませんから・・

私は、高校時代、少し調子に乗ってました。

容姿にも自信があり、母も会社を経営して、お金もありましたから、ある時、不良グループの仲間の女の子に、馬鹿にするような態度を取ったのが、私の地獄の始まりでした。


毎回呼び出され金銭を要求され、断ると暴力を振るわれる日々でした。

ある時、脅されコンビニで万引きを強要され、その万引きする姿を動画で撮られました。

それをネタに更なる要求が始りました。

裸にされ、様々な恰好を撮影され、ついには、レイプシーンまで撮ると言い出しました。


そこに空くんが、連れてこられました。空くんは、私が裸にされてるのを見て、何人もの不良たちを、ボコボコにしました。

でも不良たちに、私が刃物を突き付けられて、抵抗を止め裸にされ縛られました。


そこからは、空くんに、ボコボコにされた何人もの男子が、空くんをレイプし始めました・・


それを動画撮影し始めた男子たちは、エスカレートして、私と空くんを無理矢理合体させて、空くんと私の後ろからも・・・・・・・


そんなシーンを、何度も撮られ撮影され、それをネタに私と空くんは、呼び出され撮影されました。

私は、酷いレイプシーンを撮ると脅され、空くんを虐待しました・・・

何度何度も・・「楓さんもういいから・・」そら・・」


風香は楓を抱きしめる


「あなたも苦しんだんだから・・」


「空くんごめんなさい・・うわーん」


暫く泣いた楓は落ち着きを取り戻し優しく空を見つめ語る



「あの時の、私と空くんの心の傷は簡単に消えるものではありません!

でも私の唯一の救いは、あの時何度もエッチした相手が、空くんだけだったって事です。」


その時、菫の手を強く握り、眠る空がうなされるように叫ぶ


『ボクのせいで大切な人が作った会社…

ボクが原因で潰したくないの…

なんでもするから許して・・

でもするからぁーー』


菫が空の手を両手で握り耳元で優しく伝える


『空くん、大丈夫だから…

お母さんが、絶対守るから、心配しなくていいから…』


梨香も真帆も皆涙ぐむ、菫は空を撫でながら空の耳元で優しく言い聞かせる、菫が梨香に質問する


「空くんが、こうなったきっかけが、わが社の男性管理職が、質問したことがきっかけで、急におかしくなり、震えだし駆け寄り、空くんの身体をさすった。

それで、強いフラッシュバックが起こりとんでもない行動取り出した。

あり得ないことなんだけど、何かご存じないかしら・・」


梨香は風香を見る、風香は首を振るそれを見て梨香は空の事を話す


「菫さん、強いフラッシュバックの原因は心当たりがあります。

恐らくパニックになってる状態で、男性が空の身体に触れたことが、原因だと思います。」


「では空くんに大原が触れた事で、起こったことだと・・

いったい空くん、楓の事件以外に、何かまだあるのですか?」


梨香は静かに頷く


「はい!空には想像を絶する辛く酷い過去があります。

そのことは、お話することは出来ません!

特に楓さんは、空との事で、辛い経験をされていますので、お教えできません!

ここにいる者は、空の家族で、空の過去を全て受け入れてます。

ですから、家族以外の者には、教えるつもりはありません!

すみません、知らない方がいい事もありますよ楓さん、菫さん」


菫も楓も頷き返事をする


「わかりました。空くんと家族になるには、その過去を受け入れる必要があると言う事ですね?

お母さまそういう事みたいですけど」


「梨香さん達の、空くんを守りたい気持ちわかりました。

では私たちも、その気持ちに応じます。

楓、私たちがどれほど、空くんの事を思ってるか見てもらいましょう」


「はい!」


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