第44話再開

皆様、こちらがパーティー会場になります。


空達は、サクラグループ企業のホテルグループ八重リゾート東京に到着した


ホテルマンが数人出て来て、きびきびと動き空達を、パーティー会場まで案内して行く


「エイトクローバーの皆様こちらがサクラパーティー会場でございます。」


何この広いパーティー会場…エイトクローバーには、一人専属のホテルスタッフがついている


空達が入ってしばらくすると、サクラグループ企業の会長兼サクラコーポレーション代表取締役が挨拶を始める。


「皆様本日は、忙しい中お集まり頂きありがとうございます。

サクラコーポレーション代表笹本菫です。我がサクラグループも15年を迎えました。

これからもサクラグループ企業が発展成長するため、多くの企業の協力は不可欠です。

日頃の感謝と、新たな繋がりを求めるため、このパーティーを開催しました。

どうぞ皆様、これからも我がサクラグループ企業の発展成長にご協力ください!

今日は存分にお楽しみ下さい!」


パチパチパチパチ…

パチパチパチパチ…


代表の人の挨拶が終わると、パーティー会場が賑やかになる。

紫苑と風香は動きまわり、梨香はサクラグループ企業から、挨拶ぜめにあっている。


「はい!エイトクローバー代表安西です」


「……ですよろしくお願いします」


うわー梨香お母さん凄い


真帆も志保も、沢山いろいろな会社の人から声かけられている。


百合や理沙もいろんな人と挨拶をしている


みんな凄いなぁ…

ボクは人に酔って、会場の端にある休憩スペースに一人で座っていた。


すると一人の男性が、空に近づき話しかける


「私、サクラコーポレーション調査部部長大原と申します。」


「あ!エイトクローバーの安西…間違いました。新川空です。よろしくお願いします」


大原さんは、新しく招待された企業に所属している人の、調査面接をしているらしい、やっぱこんなに大きな企業だから、いろいろあるみたいです。


あれ?後ろに誰かいる?違う他の人と離してる?


「新川様、質問させていただいてよろしいでしょうか?」


「はい!どうぞ!」


「新川様の会社は、皆様モデルとして活動されてると聞いていますが、それは新川様も同じでしょうか?」


「はい!」


「それは女性としてでしょうか?」


その質問に、空は驚きこの人にはばれてると思った。


「え?どういう事でしょうか?」


「私は調査部です!人の過去も調べる事もございます。

もう一度お伺いします!

新川様は女性として参加「ごめんなさい!」され…」


空は頭を下げひたすら謝る


「ボクは多くの人を騙してます。

女性として参加してるのも、男が嫌いだからです!ボクは男です!

でもボクのせいで、せっかく立ち上げた会社が潰れるのは避けたいです!

ボクは、エイトクローバーのモデルとして、参加するの辞めます!

モデルのお姉ちゃん達の、雑用やサポートに回ります。

だから、梨香さんや真帆達にお仕事を下さい!

よろしくお願いします」


「新川様、その事は私が判断できるものではございません、もう一つ気になるのが新川様は、過去にも女性の格好されていますねそのことで…」


大原が過去女性の格好っと、言った瞬間空が震えだす。


ガクガク

「うぅ…」


空の様子の変化に大原は驚き、空に近寄る、様子を見守っていた笹本菫、楓、恵美理も駆け寄る


「新川様どうされたのですか!」


大原が空の身体に触れたとたん、空の表情が変わり項垂れ、服を脱ぎだし下着姿になり両手を差し出す


「ごめんなさい…

逃げないので縛ってください…」


虚ろな目で、両手を揃えて大原の前にさしだして来る


その瞬間大原はとんでもないことをしてしまったと悟る。

菫は、その目に覚えがあり、涙を流し駆け寄り、大原を離し空を抱きしめる。


「空ちゃんごめんなさい!大丈夫だから!もうそんな事しなくていいから…」


楓も、空の身体に何が起こってるか理解し涙を流し空を見つめ大原に指示をする


「大原直ぐ医務室いえ、このホテルのスイート確保しなさい」


「わかりました、直ぐに…」


大原は一礼して離れて行く、恵美理が入れ替わるように上着を脱ぎ空にかけ、空と菫を、楓と二人で二人の前に立ち周りの視線から隠す。

空を抱きしめる菫は、必死に空を元に戻そうと言葉をかけるが、届かず空から出てくる言葉に愕然とする


「空は何でもするから、どんな格好もするから、でも痛い事しないで…」


菫達は空を見て思う


これ完全に記憶が、フラッシュバックしてる…

そして楓が空の前にしゃがみ空を見つめ話しかけると、突然空が楓を見つめた後、土下座して謝りだす。


「笹本さんごめんなさい!

嫌なのにあんなことして、ほんとにごめんなさい!ごめんなさい…」


空は謝りながら、床に頭を打ち続ける


ゴン

ゴン

ゴン


それを慌てて止める楓


「空くんやめて!一番傷ついたの新川くんじゃない!何言ってるの!バカ!」


空は泣きながら楓に抱きつく


「ごめんなさい…でもボク…グスン

笹本さんに酷い事を〈ギュー〉・・・」


楓はしゃべろうとする空を強く抱きしめる


「もういいから…空くん大丈夫だから・・・別のところでゆっくりお話ししょ」


「うん… 」


「空くんあなたの事心配して、菫母さんが来てるのよ」


空は隣に座る菫を見て抱きつく


「お母さん…うわーん怖かったのー」


菫は空を抱きしめ優しく声をかける


「大丈夫よ、もう空を傷つけるような人達はいないからね」


菫に抱きしめられ落ち着いた空は、菫、楓、恵美理に付き添われホテルのスイートルームに移動した。

スイートルームに入り空はベッドに寝かされ菫の手を握ったまま眠った。


楓が眠る空を見ながら菫達に話す


「お母様、今の空くん完全に記憶フラッシュバックしてるよね、学生時代の辛い過去が…」


「そうね、調査部の者がいろいろ調べて成人してからも空くん6人の女性を助けてるわ。

そのうちの三人が、エイトクローバーの真帆さんと志保さん紫苑さんよ。

彼女達なら今の空くんの事わかるかもね。

10年も前の記憶が、身体を縛り行動するなんて、あり得ないから…」


恵美理が分析する


「大原の質問は、空くんに女性の格好について聞いた。

そして過去に、女性の格好をしてた事を質問しおかしくなった…

たぶん過去の女装の事がキーワード?

そんな事でこんなになるかな…」


菫が、空の手が強く握り締めてる事を気にとめ、二人の娘に話をする


「空くん、私の手を握る力凄く強いのよ!

これは、私達が思ってるより、ひどいかも知れないわね…」


楓が空を見つめ落ち込む


「私が空くんに与えたあの時のトラウマ…」


「でもこれは異常だと思うの…

今空くんが同居してる方々が、何か知ってると思うの、今呼びに行ってるから待ちましょう」


暫くすると、エイトクローバーの真帆達が部屋に駆け込んで来る


梨香達は部屋に入りベッドで眠る空が菫の手を強く握ってる光景に驚く


梨香が、状況を確認のため菫に問いかける


「笹本社長!空はどんな状態なのでしょうか?」


すると笹本菫、楓、恵美理が一斉に謝罪する


「すみません!安西様今回、私どもが、新川様に質問した事が原因で、強いフラッシュバックが新川様の身体に起こり、私達に謝罪を繰り返し、パニック状態になり私が落ち着かせ、今は安定して眠られています。」


梨香達は混乱する


過去の強いフラッシュバック?

空が謝罪?

そんなパニックの空が落ち着く?

どういう事?


「皆様混乱しているようなので、ご説明いたします。

私と娘の楓と恵美理は、新川様の過去に関係しています。」


すると風香が、梨香の横に来て話しかける


「あなた達は、空の高校時代を知ってる関係者ね、空に何をしたの!

過去の女装って、あのネット流出の関係者なの!」


梨香は慌てて風香を落ち着かせる


「風香落ち着きなさい!そんなにまくし立ててどうするの!

空の手を見てみなさい!

あの子が、強い過去の事がよみがえってるのに、あの子は、笹本さんの手を強く握り、離そうとしていないわ!

どういう事かわかるでしょ!」


風香達は、空が笹本菫の手を強く握る姿を見た。

それは怖くて、絶対離したくない強い思い、空に握りしめられた、笹本さんの手の指先は、色が変るくらいの強いものだった。

空にとって、話したくないほどの過去に、強い思いを持った人だと理解した。梨香は笹本菫に話しかける。


「笹本社長、お話しいただけますか?」


笹本菫は頷き話し始める


「皆様、ここには新川様、いえ空ちゃんの関係者しかいないので、私の事は菫、娘は楓、恵美理とお呼びください」


「…わかりました。私達も私は梨香、妹の風香、娘の真帆、紫苑、志保、百合、理沙とお呼び下さい」


梨香に呼ばれるたび、それぞれ頭をさげ挨拶をする


「それでは、私達と空ちゃんの過去をお話しします。」








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