第33話空迷子になる

空は、帰ってからは、どことなく元気がなく、ずっと家の中にいて理沙達と料理やお菓子を作ったりしていた。


「理沙お姉ちゃん、混ぜるのこれくらいでいいの?」


「もう少しかな・・」


真帆たちはそんな空を見て、なんか女の子のようになろうとしてる空に、何か違和感を感じていた。


以前なら、自分からは女性の服を身に着けることはなかった。

今は、自分から服を選び、時々理沙たちと買い物に行って女性用の服や下着まで買っていた。


私達は空のことは気になりながらも、大きな問題もなく日常が過ぎて行った


「空、今日お姉ちゃん達次の撮影のことで打ち合わせあるから、少し遅くなるから、寂しいかも知れないけど待っててね♪」


「うん♪空はお留守番してるから、理沙お姉ちゃんもいるから大丈夫なの」


私達は、空に見送ってもらって出版社に来ていた。


「真帆さん志保さんシオンちゃんわざわざ来てもらって悪いわね」


それから私達は次の撮影場所と列車、温泉などどこにするか打ち合わせをした。

前回の金沢は、凄く好評で、今までの最高部数が売れ、次もあなた達に期待してるのよ♪


この表紙見て下さい!これ…空…


露天風呂から、タオルを巻いて海を見つめる姿…

濡れた髪、周りの湯けむりの効果も合って私達3人もドキドキするくらい、神秘的な姿だった…凄く綺麗…


「あなた達これどう感じた?」


「凄く神秘的でドキドキしますね」


「濡れた髪と、この空の表情がなんとも言えないくらいドキドキさせるわ」


「空…綺麗…凄いよ…」


「そうなのよ!カメラマンの子もびっくりして思わずシャッター押したらしいの。

ほんとなら、あなた達3人の温泉での姿にするつもりだったの、この写真を見て久しぶりに、私もドキドキしちゃったわ」


この雑誌が発行されてからこの少女は誰なのかと、問い合わせが殺到してるのよ、発売日から数日で初版完売今までになかったことなのよ!


それにクレームもね、表紙と中に1枚だけだから、なんでもっと載せてないんだ!って


「それでね、次は空ちゃんも撮影に参加して欲しいのよ!」


「空は、私達についてくるから、大丈夫と思いますよ」


「あのそれよりこの写真の元ありますか?私達に下さい!」


「アハハ♪いいわよ!じゃ次は空ちゃんも一緒ってことでよろしくね」



その頃空は、理沙達が梨香のサポートで一緒に出かけて行き、珍しく家には空が一人で留守番をしていた。


空は、前から体調も少し気になってたため病院に見てもらいに行った。


「新川空さん2番の診察室にお入り下さい」



「少し前から普通に歩いてて急にがっくんってよく転倒するの…

暫くしたら戻るけど、最近その間隔が短くなって…

それに手の力が抜けて握力なくなったりして…

すごく疲れたり、なんかおかしくて・・」


先生はボクの身体をいろいろ触ってから、ちょっとCT撮りましょうって言われて、あといろいろな検査もして、血液も検査するからって…


「じゃ今日は帰っていいけど、もし身体の調子悪くなったらすぐに来なさい!

後1週間したら、検査結果出るからお父さん…

あ!成人か…来て下さい」


「ありがとうございました」


ボクは支払いを済ませて病院を出た。

お金ギリギリだったの…帰りのタクシー代無くなった…

よく考えたらボク…家の住所知らない…

あ!これ叱られるパターンだ!


今手に持ってるの350円……


スマホも家に忘れて来てるし…


これ絶対ヤバいよ嫌な予感…


こっちかなぁ…ボクはとぼとぼ歩いて行った。


☆・☆・☆


「空ちゃん!志保お姉ちゃん帰ったよぉ♪」


今日は、私が空ちゃんを独占できる日、急いで帰り、空ちゃんの部屋をノックして開けた。


ガチャ♪


「空ぁー………?」


あれ?いない?


梨香さん達と一緒かなぁ…


暫く待ってると、真帆も帰って来る


「ただいまぁー」


「真帆帰ったら空いなかった…

たぶんお母さん達と一緒?だった?」


「そんなこと言ってなかったけど…

そう言えば、今日は空一人で留守番のはずなんだけどなぁ…」


そこにシオンも帰って来る


「空ぁあなたの大・大好きなシオンちゃんだよ………あれ?」


「残念、私が空の部屋に行ったけどいなかったわ」


それから暫くして、梨香達が帰って来た、


「ただいま帰りました。あら?みんなどうしたのかな?」


「お母さん!空は?」


「え?空ちゃん、今日はなんだか体調悪そうだったからお留守番してるはずよ」


九条家は空がいないことに騒然となる。

メイド二人に執事も総出で、改めて家の中をくまなく捜し庭に倉庫にと全て捜した。

でも空は、見つからなかった。

携帯も置いてあり捜索手段がなくとにかく、夕食までに戻るだろうと落ち着かないまま空の帰りを待った。


理沙が、空がここ数日体調が悪そうな感じがしてたが、空に言っても大丈夫としか言わず、心配だったと。


それで梨香たちは、手分けをして付近の病院に問い合わせをした。

すると九条家から車で15kmほどの所にある総合医療センターに行ったことがわかった。


診察内容から、かなりの検査費用を支払ったと思われた。


結局夜9時を過ぎても帰ってこず、警察に捜索願いを出すことにした。






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