第32話観光列車で行く美女と温泉

次の観光列車は、のと里山里海号かぁ…

これに乗って、少しでも元気になってほしいなぁと思うのだった。


ボクたちは、七尾駅発穴水行の観光列車、のと里山里海号の到着を待った。



ボクは、列車を待ってる間、昨日のことを考えていた。


ボクは、昨日酒に酔った男に、無理やり風呂に連れていかれ、サウナ室に監禁された。

この時、男って最低な生き物だって改めて思った。


そんなボクも男、お酒とか飲んだらボクも変わるのかなぁ・・


絶対嫌だ!嫌だ!好きな人に・・

知らない人に・・

あんなことするくらいなら・・

ボクはいない方が・・


この撮影の間、邪魔にならないように離れてよ・・

何か身体の調子が少しおかしいの…


真帆お姉ちゃんたちの撮影は順調で、ボクもばれないように、離れたところから手を振って元気なところを見せる


しかし真帆お姉ちゃんも志保お姉ちゃん、紫苑お姉ちゃん、みんなホント美人で背も高くてモテモテなのに・・


どうしてボクみたいなチビで、こんな女の子みたいな男なんか、相手にしてくれるんだろう・・

記憶がところどころ・・

うぅ頭が痛いの・・


ボクは、また体調が悪くなったため、理沙さんに寄りかかって寝てしまった。


ボク達の乗ってる

この観光列車は、昨日の花嫁のれんと違い、能登の海をイメージしたブルーの車両の2両編成で、里山車両と海山車両に分かれ、内装も里山車両はシートがオレンジ1色、海山車両は青1色に統一されていて、席も4人用のBOX席と、海向きの横並びの席に分かれている。


海向き横並びの席は、七尾湾の海の絶景を見れる。

この列車は、絶景スポットに入ると、徐行し撮影ポイントに来ると、完全に停止して、絶景を堪能できるようなサービスらしく今回も列車はポイントで止まり、真帆達美女3人は、絶景をバッグに撮影していた。


列車は終着の穴水に到着し、そのままレンタカーで移動し、能登の観光名所を収めながら、金沢駅に戻りそこから列車に乗り加賀温泉に向かった。



加賀温泉に着くまで、ボクの体調は悪いままだったが、テンション高くし、はしゃぎ回った。


真帆お姉ちゃん達も、ボクが一人ではしゃぎ回ってるの見て、嬉しそうにしてくれていた。


ダメやっぱり苦しくなって来た。

このままだと、また心配かけてしまうの…


ボクが倒れそうになった時、理沙お姉ちゃんがすぐにボクを支えてくれ、ごまかしてくれた。


理沙お姉ちゃんは小さな声で話しかけてくる


『真帆様達に、心配させたくないなら私に任せて!』


わかったの…


「空ちゃんは、まだしっかり歩けないのに、はしゃぐから、足がもつれて転びそうになるんですよ!少し休んでから行きましょうね」


「うん♪ごめんなさい…」


「空のバカ!また体おかしくなったんじゃないかと、心配したじゃない!」


「真帆お姉ちゃん、ごめんなさい…」


「皆さん、空ちゃんの体力回復するまで、私がついてますので、先に旅館の方へ行って、撮影なさってて下さい」


「えーー!シオンは空が心配だよぉ」


「あー!シオンお姉ちゃんは、そうやって空に抱きつくつもりなんだ…」


「な・何言ってるのよ!空のバカ!知らない!」


「真帆お姉ちゃん、志保お姉ちゃん、シオンお姉ちゃん、空は元気だからね♪

心配入らないよぉーだ!

まだ体力ないから、少しだけ休んだら行くから、先に行って撮影してて下さい」



「わかった!じゃ待ってるから後からゆっくり来てね」


「うん♪後でねぇー」


☆……☆……☆

理沙視点☆


真帆様達が見えなくなると、空ちゃんは急にぐったりして、呼吸もおかしくなった…

私は前もって渡されたお薬を空ちゃんに飲ませ、空ちゃんが安定するのを待った。


これは、正直に話しした方がいいわね、これ以上はごまかせない…


そう思ってると、空ちゃんが、かすれる声で、駄目言わないで…って言ってくる。

真帆お姉ちゃん達が楽しくしてるのを壊したくないの…


私は駄目よ!って言ったとたんに空ちゃんの呼吸が乱れぐったりしてしまう…


空ちゃんは、呼びかけてもずっと上の空でごめんなさいをいい続けている…


脈拍も弱くなり私は救急車を呼ぼうとスマホを取り出すと、空ちゃんが、もう少し待って大丈夫だからってもぅほとんど聞こえない声で言ってくる…


私はわかったから、真帆様達には、後で私が叱られますから、この事は黙ってます!

空ちゃんは安心して、だから寝たふりしてて下さい!


空ちゃんは静かにうなずいて、そのまま私の腕の中で眠った。


空ちゃん精神的な負担大きいと、ちょっと危険な状態になるみたい、どうしたらいいの…


空ちゃんって楽しい記憶が欠落して辛い記憶が残って…

度重なる心肺停止からの回復…

心も身体も、ぼろぼろの空、自分が男性なのを凄く嫌ってる。

このままだと、何か嫌なことが起こりそう…

何とかしてあげたい…


この後私達は、加賀温泉にゆっくり浸かり、加賀を出発して東京に帰りました。


何故か空ちゃんは、寝たままで起きることはありませんでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る