第26話空の変化

『ん……ここ…あ!病院なんだ、…この人は誰?お母さん?違うの?』


「お母さん…起きて…

ここにいたらお父さん来たら逃げれない…

起きてよぉ…」


そこに男性医師と看護師が入ってくると、梨香は目を覚まし空の手を離しベッドから離れる。


医師は空を診察しょうと近寄ると、空がとんでもない行動に出る。



「ヒッ!嫌!ボクに触らないで…」


男性医師は、空に安心するように話しかける


「空くん大丈夫だよ、私はお医者さんだよ、空くんを診察にきただけだから、ちょっと見せてくれるかな」


「嫌!怖い!来ないで…触らないで…」


ブチブチブチブチ


空は男性医師が近づき、身体に触れようとすると、身体につながる点滴や酸素チューブを外しベッドから這い出るように逃げいく。


医師も看護師もあまりの行動に驚き、一瞬動きが止まる。

梨香も離れてたため、何が起こったのか理解ができず、はって逃げる空に驚き、慌てて捕まえようとした。


「来ないでぇーもう嫌ぁーー!」


はぁはぁ…


「うんしょ」


ドスン!


はぁはぁ…


空は、すぐ近くの窓に這い上がり、窓から外に落ちる。

さいわい窓の外は梁が出てて人が歩けるほどの幅があり、そこにかろうじて止まっていた。


空は、窓から落ちた時にどこか打ったのか明らかに動きがおかしく、額からも血が出ていた。梨香が窓に近づくと


「お母さん…ゴフゴフ…ごめんなさい…

ボクもう痛いの嫌だから…

ゴフゴフ…バイバイ」


梨香は空の行動を見て絶叫する


「空!ダメーーー!」


まさに空の身体が梁から落ちかかりそうになった時、トイレで部屋から離れてた理沙が窓を飛び越え空の腕をつかみ落ちかかる空を引き寄せた。


ガシッ!


「空!パチン!ダメでしょ!

お姉ちゃんがずっと一緒にいるって、お姉ちゃんが守るって言ったでしょ!」


「ごめんなさい…ぅわーん…

だって怖い男の人が近づいて来たら、お母さんもボクから離れたから怖くて逃げたの…グスン…」


「空ちゃん、お母さんがわるいわね。

許してくれる?もうどんなことがあっても、男の人近寄らせないからごめんね」


医師が看護師に耳打ちして部屋を出ていく、


看護師は、梨香に今の空くんの状態では、男性がこの部屋に入るのは難しいので、女性医師と担当を変わります。

とにかくここにいる女性だけで空くんをベッドに戻さないと、いけません。


何とか3人で空をベッドに戻し、傷を治療して再び呼吸が安定するまで酸素吸入装置をつけ、見守ることになった。


「理沙、私が戻るまで絶対空くんから離れないでくれる。担当医師と話をしてくるから」


「はい!何があっても離れません!」


梨香は、担当医師のもとで、空の状態について話を聞いていた。


「今の空くんは記憶の一部欠落と、過去の虐待による強いフラッシュバックが起こり、男性が恐怖でしかないみたいですね。しかしここまでひどいとは、一体空クンはどんなつらい目に遭ったんだろう・・」


梨香は、話を聞き空の過去を思い出す


『空ちゃんあの辛い過去を思い出したのね』


「今後お母様達次第で空くんの状況が変わるはずです。

時間はかかるかもわかりませんが、優しく愛情を注いでやれば変わると思います。」


「はい」


「ただ今日の行動で空くんの身体に異変がなければいいのですが…

普通ならあの身体であそこまで動くことは不可能なはずです。

しかし怖いという思いが無理に身体を動かしたのではないかと…

当然相当の負担が身体にあったと思います。」


『何もないといいのですが…』


空が逃げ出し事件から1週間、再びICUに入ってた空も一般病棟の個室に移った。

個室に移ってから順調に回復し、ただ心配なのは、理沙と梨香にべったり甘えていることだ。


理沙は、逃げ出し事件以降病院のでずっと泊まり込みで看病していた。

梨香も、毎日病院に通い空と過していた。

空は、記憶の欠如はまだ治らないが、理沙をお姉さん、梨香をお母さんと思い二人に接していた。




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