第25話空の回復

ここはどこだろ…

何かいっぱい機械つながってる…


あれこの女の人誰だろ?

綺麗な人だなぁ…

それに優しそうな感じの人…


ボクは、暫くぼーっと、女の人を見つめていた。


「…ん?空様気がつかれたんですね、よかったぁ…ぅう…グスン」


「あの…ここはどこですか?あなたは誰ですか?ボクをお父さんから助けてくれた人ですか?」


「え!どう言うこと?ち・ちょっと待ってて、先生呼んでくるから」


ボクは、女性が出て行こうとするのを必死で止めた。


「嫌!行かないで!ボクのそばにいて、ひとりにしないで、怖いの…ぅう…」


「空ちゃんどうしたの?」


『何かおかしい…でも今の空ちゃん可愛いすぎる…キュンキュンする』


「空ちゃん、どうしたの?どこも行かないから、大丈夫だからお医者様呼んでくるだけだから」


「嫌!空のそばにいてよぉ…

お父さん来たらまた連れていかれるから、もう痛いの嫌なの…」


…☆…☆…

理沙視点…


空くんは、弱々しく私の手を握り行かないでと、涙を流す空くんの手を優しく包み込み、空くんが落ち着くまでそばについていた。


再び眠った空くんの手を、そっと離し私は病室を出て奥様に電話をした。


「奥様、理沙です、空様が目を覚まされました。」


「え!そうなのよかったわぁ♪すぐそちらに向かうわ」


「あの、空様の様子がちょっとおかしいのです。

何か記憶を無くされてると言うか・・

とにかく来ていただければわかると思います。

私はすぐに部屋に戻ります。

空様、何故か怯えていて、私の手を放そうとしないのででは」


「え!ちょっとどう言うこと?って電話きれてる・・」


とにかく4人には、知らせてあげないとね、


LI〇Eアプリで、グループのところにメッセージを書き込んで送信っと


ピッ♪


梨香【みんな空くん目を覚ましたよ♪】


梨香【でも何か変みたいなの、メイドの理沙が言うには、記憶がないとか、詳しくはわからないから、私はすぐに病院に行くから、また連絡する】


☆・☆・真帆

お疲れさまでした、真帆さん明日のスケジュールは、都内スタジオでCM撮影がありますので、朝9時に迎えに行きます。


『はい!わかりました。お疲れさまでした』


ん?

お母さまからメッセージ来てる♪

空が目を覚ましたって、よかったぁ空戻ってきてくれてありがとう・・・?


『空の記憶がない?え!どういうこと?嘘・・・』


明日も仕事あるし、これから打ち上げ兼ねた懇親会だし・・今は我慢するしか・・


☆・☆・志保

志保さん今から打ち合わせの移動です。車で1時間ほどかかりますので、中でくつろいでてください、ドリンクとかもありますので


はい!ありがとう


車でゆっくりできるならちょっと携帯のメールでもチェックを・・・あれ真帆のお母さまからだ

空くんが目を覚ました、でも記憶がない・・


『どういうこ・・嘘!嫌!』


すぐにでも行きたいでも、仕事放棄していきたいけど・・

もしほんとに記憶がない状態で押しかけたら空にまた負担かけちゃうから、おばさまからの連絡待ってからでも、遅くないかな・・でも辛いなぁ


☆・☆・紫苑


紫苑お疲れ!また明日ね♪明日は朝8時迎えに行くからね、うん♪じゃぁね


お母さまからメッセージ来てる


『・・・・・嘘!記憶って・・そんな・・』


お母様からまたメッセージ来たけど・・

結果知らせるから、大人しくしてなさいって・・

そんなの無理だよ・・

でも明日から旅行だし・・

二人とも楽しみにしてたし・・

気が重いよぉ


☆・☆・風香

皆ご苦労さま、容疑者も確保できたみたいね、物的証拠も、目撃情報もそろってるから取り調べで認めるのも時間の問題ね、できれば早く起訴に持っていきたいわね


ん?お姉さまからLI〇E・・・


『目を覚ましたけど記憶がない?え!なんで?』


「どうされました安西警視」


「な・なんでもないわ」


『気になる・・行きたい・・でもこの事件解決するまでは動けない・・くっ』


☆・☆・梨香

「理沙どんな感じ?」


「あ!奥様空様先ほど一度目を覚まされました。

私が担当の先生を呼びに行こうとしたら、空様行かないで、怖い、お父さんに連れていかれると言われ私の手を握り泣いていました。

それで、落ち着くまで手を包んであげたら、少しして落ち着きまた眠られました。」


「空くんの虐待されてた過去の記憶・・

どうして?理沙先生は何て?」


「はい、空様は今回のような心肺停止するのは2回目だと、恐らく心肺停止による脳への何らかのダメージがあり記憶の一部が欠けてるとおっしゃってました。」


「一番覚えていてほしい記憶は消えて、一番つらい記憶が残るなんて・・空くん不憫すぎる・・」



あの子達に今伝えるのは可哀そうね、私が何とかしてあげないと・・



『いやだよぉ・・お父さん来ないで!

もうボクの身体に触らないで嫌ぁーーーー!』


ピピピピピ・・・


心拍数の異常を示すアラームが鳴り響く!

看護師とドクターが駆けつける前に、私はたまらず空くんの手を握り耳元で優しく言い続けた。


空お母さんがずっとそばにいるから、大丈夫だから・・・

空くんに言いながら私は祈り続けた。

もうこれ以上苦しむことはないんだよ、これからは私たち家族が、あなたと一緒にいるからと・・


看護師とドクターが来て緊急処置を施す前に心拍数が戻っていきアラームが停止した。


ドクターは薬による処置は身体に負担がかかりよくないから、こうした家族の呼びかけが一番効果がある時があると、言われた。


私は暫く空くんの手を握り続け耳元で優しく

『あなたには新しい家族がいるから大丈夫よ、お母さんがずっと一緒にいるからもう心配ないから、優しいお姉ちゃんも妹もいるから、空はもう一人じゃないよって』

言い続けた。


「理沙あなたも空くんの手を握ってあげて、お姉ちゃんのつもりで優しく言ってあげて」


「はい!」


『ソラちゃん早く戻ってきてね。

お姉ちゃんソラちゃんのために美味しい料理作るからね。

怖い人はお姉ちゃんがやっつけるから、心配ないよ』


梨香と理沙は、空の様子を見ながら同じ言葉を言い続けると


眠る空の目から涙がこぼれ、優しく微笑むような表情に変わり顔色も心拍も先ほどと違うように感じた。


見回りに来たドクターが、空を検診し私たちを見てもう大丈夫です。

しっかり呼吸してますし、安定してます。

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