第18話新川空の過去②青年期(改)


両親が亡くなり、ボクは母方の祖母に引取られた。

祖母は心を閉ざしたボクに凄く優しく接してくれた。

ボクの閉ざした心が、祖母のおかげで少しづつ柔らいだ気がした。


でもボクにとってこの穏やかな時間は、長く続かなかった。

今度は、親せきが集まりボクを引き取ることで言い争いが始まった。

祖母が言うには、父と母の遺産が目当てだと。

確かに両親が亡くなって生命保険が降りてボクの銀行口座には生前の母の貯金と保険金合わせて億近いお金が入っていた。


ボクに面倒みるから、ついでにお金の管理もしてあげるからとか、お金に関する事ばかりで言い争っている。


ボクの精神的なことは誰も心配してくれていない・・祖母の言う通りだった。


ボクを引き取てくれた祖母は、親戚に対応してくれ何度も追い返してくれた。

祖母の対応に親戚連中も諦めこれで安心できると思ってたら今度は転向した学校でボクの虐めが始まった。


☆・☆・☆・☆・


おい!今日転校生が来るらしいぞ、男?女?どっちだ?クラスの男が騒いでいた。


「はい!みんな騒がない!今日は転校生を紹介します、じゃ挨拶して」


ボクは先生に言われ自己紹介をする


「新川空ですよろしくお願いします」


クラスの男子は「小さくて可愛い!ぅおー女の子だぁ!」と言って騒ぐ


そんな男子に先生はボクの性別をはっきり言う


「あら!新川空君は男の子よ!ちゃんと男子の制服着てるでしょ。」


えーーーーー!マジか!


うそー!とクラスが大騒ぎになる


ボクは、最初はこの容姿と声でクラスでも人気があったが、ある時いじめられてる女の子を庇い、虐めてた連中に注意をした。

すると虐めの矛先がボクになりクラスのほとんどが虐めに加わっていた。


おい、こいつほんとに男か確かめてみようぜ!

ボクは叫んだ!けど集団で襲われボクは全て剥ぎ取られ、裸にされた。


裸にしたボクを見て男子と女子は


「こいつ、声も女だぜ!」

「ほんと私たちと同じ女子の肌じゃん!気持ち悪い!」


身体測定の時も、男性教員がボクの身体を触りまくる。


それを、クラスの男子がニヤニヤ見る。


ほんと辛かった・・


体育の球技授業では、ボクが集中的に狙われ、倒れると誰かがすぐ近寄り身体を触ってくる・・


学校では毎日こんなことの繰り返しで…


ボクはあの時と同じ心を閉ざしていった。


☆・☆・☆・☆・


毎日いじめられて帰って来るボクに、祖母はよく話をしてくれ、引っ越しょうかとまで言ってくれた。


ボクは祖母の優しさを断った。


これが祖母を苦しめる結果になると思わず


それからはいじめに対して毅然とした態度をとったら集団のいじめは減っていった。

でも変態男子と教師の性的な嫌がらせは続いた。


終わったと思ってた親戚の人たちのボクの遺産目当ての行為は年々ひどくなり、祖母はその心労もあり高校に入学するとすぐに亡くなった・・


それからのボクは、完全に心を閉ざし成長していった。


祖母が亡くなって、また一人になって、親戚の人たちが再びお押しかけて来た。


優しくボクを引き取るからと、言ってくれたけど、目当てはボクが持っているお金なのはわかってた。


だからボクは虐めにあってて、それで反撃したら相手が重傷を負ってその賠償のことでもめていて祖母が話し合ってくれていた。それを引き継いで話し合ってくれるならと条件を出した。


それくらいなら面倒みると言って来たから、相手は5人いるけどそれでもいいかと尋ねる


『反撃して相手に怪我させたのは、事実だから嘘は言ってない、軽く怪我した程度だ』


それでも引き取るっと、言ってくれるのなら行くつもりでいた。

けどみんな理由をつけて断って帰っていった。


不思議だったのは、ボクを虐めてた女の子の一人のお母さんが、その子を連れて泣きながら謝ってくれた。


それからは、亡くなった祖母の家で一人で暮らしてるボクの所に毎日来てくれ、いろいろサポートしてくれた。


ボクはその人のおかげで、なんとか卒業できた。

多分あの人がいなかったらボクは壊れてたと思う


あの人は、掃除、洗濯、食事、いろいろな書類や手続きも、お金の管理等全て親切に教えてくれた。


食事も時々一緒に食べてくれてた。

お風呂に入って来たのは驚いたけど、ボクのいじめによる身体の痣を見て、泣いてくれたのもビックリだった。


ボクの虐めに加わってた、その子は男子達からいじめられて、ボクと一緒裸にされ合体してる動画まで撮られたのに…


確かにあの子は、他の子と一緒にいじめてたけど、ボクはその子も同じように酷い事されてた事わかってたから…


何とも思ってないのに…


その子は、お母さんにボクのことをいろいろ聞いたのか、その子は一緒にひどい事されたけど、陰からよく助けてくれた。

その人は笹本菫さんで会社の社長さんだった。笹本さんとは千葉の会社に入るまで連絡取り合っていた。


高校を卒業して嫌な思いでしかない関西から関東エリアに就職をした。

社会人になり就職しても容姿をできるだけ目立たないように工夫をして、声も男っぽい声が少し出せるようになっていた。


『ボクの身体は少し特殊であそこがなければ完全に女の子だった。』


中学になって一番驚いたのはボクの身体小さいけどおっぱいがあったことだ。


『これ完全に女の子のおっぱいと同じだ・・』


絶対お風呂なんて一緒に入れない…

気をつけなきゃ


就職して数年たち、社会人としていろいろな人と接するようになって、人の見方が少し変わってきた。


精神的に少し余裕ができ、可愛いデザインの時計やアクセサリーがあったから思わず買ってしまい、嬉しくて毎日身に着けていた。


この容姿だし、いくら男らしくしても女性にしか見られないんだし、可愛いもの好きだから気にせず普通にしていた。


学生の頃なら今の行動は考えられなかった。




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