第12話長距離バス (改)

秋田県田沢湖…この近くにお母さんの生まれた所がある。もう知り合いの人はいないみたいだけど、一度見ておきたかった。


ボクはネットで田沢湖周辺を調べて、時間が来たのでネットカフェを後に新宿バスターミナルに向かった。


これからのことも考えないと…


だけど、もし真帆にボクが解雇になったのが、身体障害が原因ってわかったら…

真帆は、無茶な行動に出るのがわかる。だから解雇になったのがばれた時のこと考えて、真帆が責任感じないようにしないと…


それと嫌われるようにメッセージを、LI〇Eて送るつもりだ。


ボクは、新宿駅で秋田までのチケットを買ってバスに乗り込んだ。


22:00発の便で秋田には7:00到着予定か、席は3/2くらい埋まってて、最近のバスは座席数も少なく、個室になるバスまである。


それに女性の横に、男性が乗らないようにも配慮されてることが多い。

特に夜間の長距離バスは、痴漢行為する馬鹿な男もいるから、ボクも気を付けないと…


今の格好でばれたら、ただの変態扱いされそうだし。

ただ今回のバスは、3列でも女性安心プランでもなく、4列ゆったりタイプだけ、横に男が来ないことを祈って座席に座る。


発車間際に、ボクの横に大柄な女性が乗ってきて座ると、バスは秋田に向け発車した。


発車してすぐ、ボクはカノピーをかぶり顔が見えないようにして眠った。

どれくらい眠っただろうか、ボクは隣の女性が何度か足を蹴ってくるのに、目が覚めて女性の方を見た。


すると、狭い通路を挟んで、男が女性に何かしていた。


女性は、手で男の手を何度も払いのけるが、男はやめようとせず、ますますエスカレートして、スカートの中に手を入れようとしていた。


よく見ると男は、ガタイがよく顔も強面で〇クザに見え、それに手にはナイフを持ってるから、女性も怖くて声を上げれないでいた。


ボクは、男の行為に怒りを覚え、スマホで男にわかるように、動画を撮影してるのを見せつけた。


「おじさん何やってるの!それ犯罪だよ!バッチリ顔も撮ったから逃げれないから!」


そして動画を警察に送ったからと男に告げた。


男は怒りボクを座席から引きずり出して、思いきり殴られ床に吹き飛ばされ、何度も何度も男に蹴られた。


「こら!ガキ!何しやがった!」


ドス!

ドス!

ドス!

ドス!


「ぐうぅ…」


前と違って、今のボクは右足も左手も満足に動かせず、ひたすら蹴られ続けた。


周りの人も、身長190㎝くらいある大男で〇クザ風の男が手にナイフを持って、わめきながら蹴ってるのを、誰も止める事はできなかった。


ボクはひたすら耐え、隙ができるチャンスを待った。


フン!


「くそガキ!おらーー!」


男が調子に乗り、両方の手を椅子の背もたれから離した瞬間、ボクは大声で叫ぶ!


「急ブレーキ!踏んでえーー!」


キーーーー!


車内は悲鳴があがる


「「「きゃーー」」」


すると、社内の後方の窓が赤く光り、同時に身体が前に移動しそうになる。

当然男も、前に倒れそうになり、振り上げてた足を前に出そうとした瞬間、ボクは足で男のくるぶし目掛け蹴った。


男は急ブレーキの影響もあり、覆いかぶさるように、勢いよく倒れてくる。

ボクは、倒れてくる男の鳩尾に、肘を立て思いきり打ち込んだ!


「屑男!」


ドスン!


「ぐえぇーーーーーー!」


男は叫び声をあげ気絶した。


男が気絶してボクに覆い被った時、ボクは男に蹴られ続けた影響で、内臓がやられたのか、口から血を大量に吐き出した。


ゴホッ

ゴホッ

ブハァ…


「はぁはぁ…」


バスは、一旦ハザードランプを点滅させながら路肩に止まり、気絶した男を、周りの男性がどかしてくれた。


運転手さんが、非常用に結束バンドを持って来て、男の人達が、男の腕を背中に回して、親指どうしを、結束バンドで固定した。


ボクは、周りの人に抱きかかえられ、後部の広い席に移され、バスに積んであった救急箱で、傷の手当てをされ寝かされた。


その後バスは、再び走り出し最寄りのサービスエリアに止まり、警察が来るのを待った。


ボクは、トイレで口をゆすいで来たいからと、バスを降ろしてもらいトイレに駆け込んだ。


身体の方は、かなりのダメージがあり、呼吸も苦しくなっていた。


ジャーー

バシャバシャ


「はぁはぁ…これちょっとヤバいかも、かなり呼吸するの苦しい…

でも警察来るしこの姿だし、それにあの人からも逃げて来てるし、このまま逃げよ」


ボクは、トイレの中を歩いて見た。


「うん、ゆっくり歩けば大丈夫そう…

後は見つからないようにここから離れれば」



はぁはぁ…


ボクは、これ以上巻き込まれたくなかったから、トイレからバスの様子を伺っていた。


タイミングよく、大型トラックが、止まってるバスの前を横切る寸前に、トイレから出てサービスエリアの建物の裏側に回った。


よし!ここから、一般道につながる道に出られそうだ。


ボクは、その場から離れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る