第11話新川空と九条家 (改)

 ボクは、次の日の朝ネットカフェを出て、駅にむかった。

この格好はまずい、人にじろじろ見られるから、早く服買って着替えたい!


地下鉄で移動し渋谷で下車し、ここでもやはりこの姿は目立ち、目についた店に入り、目立たない服をと思ってた。


けど店員の強いってか、あまりにも熱心なお勧めにまけて、購入して中で着替えさせてもらって店をでた。


 くそ!あの店員、女子高生の姿よりましだが、これはこれでちょっと・・・

これじゃまた補導されるかも・・


20歳超えてますって言っても、誰も信用してくれないなぁ・・


それよりボクは、元上司の井戸部長に文句を言うために連絡した。


「もしもし井戸部長いらっしょいますか?

新川です、関連会社の面接の件でお電話したのですが…」


 さんざん待たされて結果、本日急な出張が入ったと、戻りは1週間後だと連絡があったので、人事の東部長にも取り次いでくれと言ったが、来客中と言われ頭に来て、話合いができるまで何度でも電話するって言った。


そしたら1時間後連絡があり、退職は会社都合と言う扱いにするので、退職金は1.5倍の支給、特別功労手当て1000万を支給するのと、復帰してからの残業は、全額支給するので、今回の件は、解決したと言う事にしてほしいとの事だった。



 ボクは電話を切り、呆然としていた。そんなに身体が不自由な人間は邪魔なのか!

カットされた残業代、差別的な扱いパワハラなどなど・・ 訴えられると不利や問題が多数あり、ボクを黙らせるための多額の補償金と行動じゃん!


確かにボクは、今まで大人しかった。


だからボクの発言で慌てて決めたのかな?


これ以上文句言っても無駄かな、今のボクは、お金必要だしすぐ支給されるみたいだしいいか。


後は、この身体でもできる仕事見つけて、身体治療考えよっと。


たぶん手術すれば、ある程度まで回復するみたいだし、後はリハビリ頑張ればなんとかなると思う。


それより気になるのが、今のボクって利き手の握力はほとんどなく、ゆっくりとしか動かすことができない…

それに右足にも力が入らず、ゆっくりとした歩行でしか歩けない状態なんだよね。


何か気になるだよね、確かに精密検査を受けて治療すればいいのだろうけど、ニートのボクでは、これからの生活も危ないのに…


でも今回すぐ支給されるのがわかった。これで治療できるお金あるから早めに病院行って検査しよ!

その前に、お母さんの生まれた田沢湖に行って温泉入って、リフレッシュしょ♪


気にいったら、そのまま向こうで暮らしてもいいかな…


東京はもういいや


 ボクは、これからの事をいろいろ考えながら歩いて、新宿バスターミナルに着いた。



「ここが新宿バスターミナルか、ここからいろんな所に長距離バスが出てるんだ、お母さんの生まれた所、行くバスあるかなぁ」


 秋田バスターミナル行きはと・・ あった22:00発がある、まだだいぶ時間あるどうしょう…


あんまり動き回るとこの格好だし、絡まれると、前みたいにもう撃退も出来ないから、どこかで時間つぶさないと…

向こうの情報も集めたいし、ボクは、駅付近のネットカフェに入った。


 ☆・☆・☆・

 その頃九条家では、朝食を済ませた、家族とメイド、夜遅くの訪問者の風香が、テーブルを囲み話し合っていた。


 梨香が皆を見て話す


「昨日は夜も遅くなって、話もできなかったから、風香今回の件話してもらえるかしら」


 風香は梨香に文句を言う


お姉さんそんなに怒らないでよお…怖いからさ


風香は梨香を見ながら今回の経緯を話して言った。


梨香は経緯を聞いて風香を睨む


「ふーん、それでその補導された女の子が、真帆の恩人の新川空くんで、私を驚かそうと思って、言わなかったと…」


風香は梨香に謝罪する


「ごめんなさい。お姉さん!まさかこんなことになると思ってなかったから…」


執事が梨香に1枚の封筒を渡し説明する


「奥様、昨日新川様のリュックを運び入れようとした時に、リュックのポケットから落ちてきた封筒です」


 何かと思いながら、中身を一読しメイドに携帯を持って来させて、電話をかけ少し話した後電話を切る


 全員が、梨香の表情の変わりように驚いていた。


「お母様何があったの?」


「空ちゃん、会社を解雇されたみたいなのよ!

名目状は関連会社への移動と言うかたちで 一旦退職させて、人事部長が紹介する約束で、向こうの人事部長と話し合うつもりだった見たい。


ところが、人事部長が話を通すのを忘れ、先に空ちゃんが連絡した結果、障害ある空ちゃんは採用されなかった。


関連会社の方は、話しは聞いていたが、空君の身体の障害の事人事部長からの連絡はなかったからと不採用の決定 。


要は障害を持った空君は、解雇したかったからお互い訴えられないような理由を付けたってところかしら。


さっきの電話の女の子が、教えてくれてんだけど、空君、戻ってから障害のせいで、セクハラパワハラとかずいぶん酷い扱いされて大変だった見たい。

空君の障害、空君の部署、会社の状況全てが絡んで今回の結果になった見たいね。」


 真帆は空の現状を聞き、空が言った別れの言葉を思い出し、改めて空の優しさに涙が頬をながれた


「空…過去に何か辛いことがあったみたいなの…

女の人にも何回か騙されたみたいで、女性が苦手みたいなの…

でも私のために身体に障害負ったのに…

何も言わないの…

優し過ぎるのよ!バカ…」


紫苑が真帆の手を握り話す


「お姉さん、空ちゃんのことは私が責任持って捜します!

私だって、空ちゃんのこと気になってるし絶対見つけて見せるわ」


紫苑は梨香に提案する


「お母様、空さんこの家に住んでもらったらいいと思います!

紫苑も空さんのこと凄く気になるの、ダメでしょうか?」


梨香は紫苑を見て微笑み話しかける


「あらあら、まぁちゃんだけでなく紫苑も、空ちゃんが気に入ったわけ、困ったわね。

でも空ちゃんの辛い過去が、女性を苦手になった原因があるのだったら、それを私達が知っておく必要あるわね。

そうでないと、この家で暮らすこともできないわよ」


真帆は決意を込め梨香に話す


「私は、空の辛い過去を忘れさせてあげたい、そのためにも空に会いたい…」


梨香も頷き真帆に自分の考えを言う


「そうね。とにかく今の空ちゃん、凄く不安定な状態じゃないかしら、早く見つけてあげないと、いけない気がするわ」


 皆がうなづくが、真帆だけは落ち込んでいた。


 梨香は、真帆を見つめ思う


『真帆ちゃんのためにも絶対空ちゃんを見つけてあげないといけないわね』











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