第10話梨香の焦り (改)
車でソラが戻るのを待つ梨香は、戻りの遅いソラの心配をしていた。
「奥様少々遅いように思います。様子を見に行かれた方がよろしいかと・・」
梨香は頷き確認に向かう
「そうよね、20分っていくら何でも遅いわよね。
荷物もあるから、大丈夫とおもってたの、ちょっと見てくるわ」
梨香は車を降りて、コンビニに入った。
店内には年配の客がいただけで、女の子の姿はなくトイレも空いていた。
私は、あわてて店員に聞きに行った。
「すみません、20分くらい前に女子高生が来なかったかしら、背はかなり小柄な可愛い子なんだけど」
店員は女子高生が来たことを覚えていた。
「あぁ!あの子ね来ましたよ、裏口から出ていきましたよ、変な人に追いかけられてるって言ってましたね」
「そう・・出て行ったの・・」
私はがっくり肩を落として、帰ろうとしたら店員が話しかけて来る
「あの!たぶん奥様のことと思うのですが、その子からメモ預かってます。」
私は店員からメモを受け取り読んでみた。
「安西さん、ごめんなさい!私、いっぱい嘘ついてます。
女子高校生じゃないし、ほかにもいろいろ・・と・・・んです。
でも両親いないこと、住む場所ないことはほんとです。
住所不定のニートです。
こんな私が、安西さんのところに行くと迷惑かけるので、いけません!
私なんかのために、お金使わせてごめんなさい。
見ず知らずの私なんかのために、身元引き受けてくれたのにごめんなさい。
ほんとにありがとうございました」
あの子これ泣きながら書いたわね・・
所々にじんで読めないところもあるわバカね。気を使わなくていいのに、わざわざこんなメモ残して、ほんといい子ね。
気に入ったわ絶対探して連れて帰るわ!
「笹井!これ見て、どう思うかしら、あなたなら付き合いも長いから、私の今の気持ちわかるでしょ」
「奥様!笹井全力をあげて探して見せます。」
梨香はすぐに車から電話をかける
「もしもし、私よもうすぐ家に着くから、理沙と百合スーツに着替えて待っててほしいの、わたしと人探しを手伝ってほしいのおねがい・・」
「わかりました!すぐに着替えます。」
暫くして、車は九条家に着き、着替えてたメイド達が乗り込んで来ると、車を走らせながら今までの経緯を話す。
ソラがいなくなったコンビニ付近を手分けして探す。
私とメイド達で、手分けして周辺のホテルを聞いて周ったが、ソラ様は見つからなかった。
「いったん戻りましょ。今日はたまたま妹が来るから、彼女の力を借りましょう」
落ち込む奥様を慰めながら、私たちは九条家に戻ってきた。
紫苑が玄関から出て来て帰って来た私達に声をかけてくる
「お母さまお帰りなさいませ?お母さま?」
私は夕飯を作って待っていてくれた紫苑に謝る
「ごめんね紫苑夕飯冷めてしまって・・」
紫苑は元気のない私を気遣ってくれる
「いえ、そんなことはいいんです。お母さま元気がないです、どうかされたのですか?」
「風香は来てる」
「いえ、まだみたいです。」
私は落ち込み皆に今日の事を話すために集まってもらうように紫苑に言う。
「そう…話すことあるから、みんなにリビングに集まってもらえる」
「はい!お姉さまにも伝えます」
私は家に入りリビングに向かいながらメイドに尋ねる
「道夫さんは帰ってるのかしら?」
メイドの百合が答える
「旦那様はお帰りになって、すぐに書斎に入られお呼びになるまで誰も来ないようにと、お食事も済ませて来たからと言われました。」
あの人は相変わらずね。もう決めなきゃかな
「そう…」
あの人は最近様子がおかしいけど、いったい何を考えてるのかしら…
梨香がソファーに座りため息を吐き今後の事を考えてると、真帆も降りて来て全員がリビングに集まる
落ち込みため息をつく梨香見る紫苑と真帆
真帆達が揃うのを待って、笹井がソラが書いたメモをテーブルの上に置く
紫苑がそれを読んで梨香を見る
「ふーんコンビニで、そのソラちゃんがこれを残していなくなったんだ、それでお母様は落ち込んでるのね」
梨香は空がいなくなったのは自分の不注意だと落ち込む
「ぅう…ごめんなさい、私がリュックがあるからと安心したから…
ソラちゃんがいなくなったの」
私達が話してると、真帆が話しに加わり話しかけて来る
「あの…お母様、空ってさっきから言ってるけどどういうこと?」
私は真帆に東京駅に迎えに行った女子高生の事を話した。
「まぁちゃん…
今日ね、風香に東京駅に補導された、女子高生の身元の引取をお願いされた子が、ソラって言うのよ」
真帆は女子高生と聞いて反応が薄い
「女子高生のソラ?ふーんどんな子」
梨香が携帯の画面を真帆に見せる
「写メあるから、ちょっと待って… この子よ」
真帆は、写メをじっと見つめる
『あれ?この子って東京駅の交番にいた子だ、人がいっぱい覗いてた女子高生だ』
「可愛い女子高生ね、この子が補導されたんだ、何したんだろ?」
梨香は落ち着いたのか、写メを見ながら真帆と話し始める
「とても小さくて可愛い子なのよ」
真帆は、写メを見て
『あれ?でもこの子似てる髪が長いからわかりにくいけど…』
梨香はこれまでのいきさつを泣きながら説明する
「風香が、送ってくれた写メなのよ。迎えに行ってほしいって、言われて東京駅に行ったのよ。
それで、その子と一緒に帰る途中で、その子のために服とか下着とか買って帰る途中で、その子がトイレに行きたいって言うので、コンビニに寄ったの…
そこでその子裏口から逃げたの…グスン」
また思い出して、泣き出した母を抱きしめながら真帆は、話を続ける
「でもお母様何で、あの子は逃げたのですか?」
紫苑が真帆にメモを見せる
「お姉ちゃんこれを読んで」
私は渡されたメモを読んで確信した。その途端涙が溢れてくる…
『この子空だ・・』
「お母様、ありがとうございます。
空を迎えに行ってくれて、笹井さんも理沙さんも、百合さんも捜しに行ってくれてありがとう…
わーん… また空がぁ… どこか行ったぁ…゜゜(´O`)°゜」
皆が真帆の発言で驚く
「お嬢様?まさか…」
「まぁちゃん… まさかあの子が、ひょっとしてあなたの思い人なの」
紫苑も何かブツブツ言っている
「私だって可愛いから絶対お友達になりたいのに…
でも何か気になるってか、どこかで見たような気がするのよねブツブツ…」
母娘が泣きながら抱き合って、その周りをほのぼのと見守る家族たち…そこに
ピンポン♪
メイドの百合が対応し迎え入れる
「奥様、風香様がお見えになりました。」
「ヤッホー!姉さんどうだっ…た………!」
周りは母娘が抱き合って泣いてる声だけが聞こえてくる
何この状況…何で?
それに空がって聞こえてるし…
ヤバいここは出直した方が…
「わ・私出直して来ます。」
「待って!風香様」
理沙が逃げる風香の腕をガシ!っとつかむ!
「風香様!今回の件で奥様が大変落ち込んでおられます。
原因は、風香様にあるとおもうのですが、奥様が落ち着くまで、少しお待ちください」
紫苑も風香を睨み文句を言う
「風香おばさん!
お母様は風香おばさんのお願いを聞いて東京駅に行ったのよ!
ちゃんとお母様の話を聞いて!」
風香は紫苑の発言にとぼける
「アハハ…何の事かなぁ紫苑ちゃん。
私は姉さんに、久しぶりに会いに来ただけだし、何か取り込んでるようだから帰った方がいいかなぁ…」
紫苑とメイドに拒否される風香だった。
「「「ダメです!」」」
えー-!
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