第11話
55
彼女は、確か教師になりたい理由をこう語っていた気がする。
「だって、私はこの世界に満たされなかったけど、きっと他の子はこの世界に希望を持ってくれるはずだから。きっと」
まっ、私が生きていればの話なんだけどね。
そう軽く言ってのける彼女には、もう先生になる気なんてないのかもしれない、とあの時は軽く思っていたものだが、後悔はいつまでたっても消えない。
僕は顧問を持っていないので、休日は、だいたいフリーだ。
大手ショッピングモールへ出かけに街を歩いていると、前から中学生ぐらいの男女二人組とすれ違った。
通ってすぐに気づいた。雰囲気が似てる。茶髪で短髪な彼と、セミロングの少女、あどけなさが残る二人。
二人は、談笑しながら通り過ぎた。
少女 無為憂 @Pman
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