閑話1 協会について

 「そう言えば蒼は光の一族の協会に属しているんだったな」

 「うんそうだよ。でも、まだまだ新人なんだよね」


 と照れ臭さに話す蒼。

 だと、ここで協会について少し触れておこう。


 「蒼は協会についてどこまで知っているるだ」

 「えっ?!うーんとね、光の一族と闇の一族でそれぞれ大元の協会があって。えっと、確か今はどっちも仲いいんだっけ?」

 「ある程度はな。そもそも協会について私も詳しくは知らない」

 「そうなの?詳しそうなのに、ルーナちゃん」

 「いいや。私も実質的な活動は一.、二年程で全く関わりがないんだ。それに協会が仲がいいのはで、本質的には何も変わってはいないのが現実だ」

 「それってつまり……」

 「協会に属しているのは、互いを認め合った同士。つまりは仲間になるが。それ以外の教会に属していない者達は無作為な行動に走る可能性があると言うことだ」

 「えっ?!」

 「まあそもそもの話協会に属そうとする奴なんて少ない。ただ聞いたところによると、魔法少女や巫女といった光の一族は殆どが協会に属するらしいな」

 「うんそうだよ。この町を仕切っている協会の巫女さんに誘われたんだ」

 「巫女……ってことは巫女協会か」

 「えっ?!光の協会じゃないの?」

 「ん?そもそも光の協会も闇の協会も、あくまでも本部ってだけだ。ただの俗称で、それぞれの役職。つまりは巫女や魔法少女、錬金術のようにバラバラなんだよ。で、それらの総称が協会。ちなみにあくまでも団結して作られた組織だから協会なんだよ。宗教的なものじゃないから教会にはならなかったわけだ」

 「へぇー。勉強になるね」

 「そうだな」


 私はとりあえずのことを教えておいた。

 すると蒼は私に訊ねる。


 「そう言えばルーナちゃんはどっちにも属してるよね?」

 「そうだな。おかげで給料も割高だ」

 「あはは。現実的なこと言うね」

 「まあね。そもそも協会は世界中の国から援助金や、支援金、それらの活動の功績でお金を頂いているから、その分の利益が私達に入ってきてもいいだろう」

 「うーん、何だか夢が覚めちゃうよ」

 「ごめん。それで私が両方の協会に属していることで、何か聞きたいことでも?」

 「うん。あのね、ルーナちゃんはどの協会の人なの?」

 「と言うと?」


 蒼は私の説明からつたないながらも、言葉を載せる。


 「だって、えっと……私はルーナちゃんの話だと、魔法少女協会?に属してるんだよね」

 「その巫女さんがしっかり伝えているのであれば、そうだな。正確には魔法少女協会のその巫女さんの派閥に属していることになるが、細かいことは言わない。それで」

 「うん。だったら、ルーナちゃんはどうなのかなって?闇の一族の吸血鬼協会とか?それとも光の一族の魔法少女協会?それとも亜人協会とか!」


 とニコニコとたのしそうだ。

 しかし残念ながら、私は両協会に属しているだけでそう言った固有のものにはついていない。と言うのも簡単で……


 「私は自分の協会がある。もちろん、私しかいないがな」

 「えっ?!」

 「そもそも私は亜人の中でも特にイレギュラーな存在だ。だからこそ、私だけの私しか入れない協会がある。特に名称もなければ、知られてもいない。だからこう呼ばれているっぽい」


 私は気恥ずかしくなる気持ちを押し殺しながら、何故かは知らないがたかぶった気持ちが口走ってしまっていた。


 「『赤紅の混血ブラッディルーナ』の、紅月の亜人ブラッドムーンとな」


 と私は説明した。

 すると蒼は「自分の名前が協会名なんて、かっこいいよね」茶化す。

 その言葉に少しだが元気付けられている、自分がいるのを気づいていた私だった。


 そして黙っていたことがある。

 あと二つ。私と同じで亜人であり、どっちつかずの協会に属している者がいると。

 名前は知らない。

 けれどそこに確かにあるのだ。

 そんな優しい協会は。

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