*あやかしの後悔 3
今更だが、あやかしと人間は生きる世界がちがう。二つの世界は平行しているんだ。
だからこそ、人間は得体の知れないあやかしを忌み嫌い、疎み、恐れる。逆も然り。あやかしは人間というものが理解出来ずにいて、ある意味人間を怖がっている。
「そう、思ってたんだけどなあ……」
社の中に運び込んだ少女は、微かな寝息を立てて横たわっている。気休め程度にかけた布団は少女の身の丈より少し大きい。まだ辛うじて生きている。
「なんで助けちまったんだよ」
自分に問いかける。その答えは少ししてから出た。
気まぐれ、と言うやつだろう。
山の木の実や薬草、果実を社に持ち帰り、調合する。
少女は寝たきりだが、薬を飲むことは出来るはずだ。出来上がった薬を飲ませ、また同じ薬を作る。一度だけ味見をしてみたが、とても不味かった。
社の外で風に煽られていると、桜の木が退屈そうに花弁を散らした。
「暇つぶしって感じだね。人間の娘は、まだ夢の中?」
「そうみたいだ」
少女の顔色は幾分かマシになっていたが、改めて考えると、このまま彼女が回復したとして、その後はどうすればよいのだろう。
「なあ、桜の木。俺は神さまじゃないんだ。あの娘の目が覚めた時、俺は、どうしたら良いんだろうな」
桜の木は答えない。
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