桜姉妹

「そういえば凛先輩って蘭先輩と性格真逆ですよね」

 金髪ポニーテールの杏は赤渕眼鏡三つ編み少女の桜凛にいう。


「そだね~」

「仲良しですよね。あこがれちゃうな」

「まあね~。仲は良いかもね~」

「何で二人はいつも一緒の格好してるんですか?」

「それはね~。昔のことだけどね〜」


 ◆◆◆


 桜姉妹 小学6年生


「皆で遊びに行くぞ〜」


 小学生のみんなは桜凛の掛け声とともに外へ向かう。


「おー」

 

 クラスのみんなは桜凛と共に外へ出かける。


「お前ら双子のくせに全然似てないよな」  

 短い髪の短パン少年は桜蘭に言う。

「……そうかな」

「そうだよ。凛はいつも外で遊んでるのにいっつも本ばっか読んでる」

「……だめなの」

「だめだね」

「……私だめなのかな」


 家にて


「……私、お姉ちゃんみたいになりたい」

「何で〜。蘭には蘭の良い所が有るじゃんね〜」

「……私眼鏡だし。人気者じゃないし」

「眼鏡が嫌なの〜」

「……そうじゃなくて。何か。こう。取り敢えず、お姉ちゃんみたいになりたいの」

「私も蘭みたいになりたいよ」

「……そんなの嘘」

「嘘じゃないよ明日から蘭と一緒の髪型にするし〜。一緒の眼鏡も掛けちゃうよ〜」

「……でも、お姉ちゃん髪結べないじゃん」

「そんなの蘭ちゃんにやって貰えばいいじゃん」

「……お姉ちゃん。ありがとう」

「別に感謝することじゃないよ~」


「何で凛が蘭の格好してんだよ」

 昨日も蘭に喋りかけた男子が言った。

「……だめなの」

「蘭の方が似合ってる」


 ◆◆◆


「な~んてことがね〜。2人付き合い初めてんだよ〜。踏み台にされた感じ〜」

「へえ、そんなことが。でも、やっぱいいなあ。双子の姉妹って」

「私のは蘭と違って伊達眼なんだけどね~」

「そうなんですね。全然知らなかった」


「うわぁぁぁぁぁぁ。鬼速スピードスターあああ」

 ショートヘアの女の子が二人の隣を駆け抜ける。


「スキルバーストを確認。蘭の方に向かってる」

「……了解」


 蘭の前を宰領一年のショートヘアの女の子が現れる。


「……この子がスキルバーストだね。お姉ちゃんの所行って」


 蘭は走っている女の子に右腕を伸ばし女の子を凛の前へ送る。


 シュッ


 凛は蘭によって飛ばされた女の子の頭に手を当てる。

 

「テレパシー。エコー あ~」


 凛はショートヘアの女の子の右頭に右人差し指を当てる。


 あ あ あ あ


 あと言う言葉が鬼速スピードスターの頭の中でエコーし続ける。その内、あと言う音が合唱の歌のようになり、鬼速スピードスターは心地よく眠った。


「私たちって頼りになるでしょ~」

「はい」

 杏は笑顔で心の底から答えた。

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