皇帝殺し
真相
蕨がたどり着くと、円卓には青二を除いた十一人がそろっていた。そこに涼風、葛切がいた。
「青二君の様態は時期に回復するだろう。命に別状はない」
葛切りは口を開いた。
「よかった」
蕨は安堵する。
「では本題だ。皇帝殺しを倒す計画の話だ」
涼風が話す。
「何ですかその皇帝殺しって?」
ういろうはいち早く反応する。
「かつて神器を使いこなし、世を平和に導いた者を人々は敬意を込めて皇帝と呼んだ。その皇帝殺しを次々に殺していった皇帝殺しを倒してもらう」
「そういえば皇帝殺しって言うのはなんなんだ」
蕨は父親に聞く。
「生まれつき底知れぬルクスを有する
「何でそんなのを倒す計画に私たちが関わらなきゃいけないの?」
「この海底都市ポセアリウスは皇帝殺し封印された皇帝殺しを監視するためだけに作られ、宰領学園は皇帝殺しを倒す超能力者を生み出すためだけに作られた。君たちは知らないようだね。なら、教えよう。ポセアリウスの歴史を」
◆◆◆
とある女性がいた。その女性はいたって普通の暮らしをした。人並みの暮らしをしてとある男性と付き合った。そして1人の娘を産んだ。
その娘が五歳になった時、身長がちょうど母親と同じになった。その前からもその娘にはいくつか不思議なことがあった。飲食をすることがなかった。眠らなかった。しゃべらなかった。
そんな彼女の親は、彼女を一人の皇帝に会わせることにした。彼女にかかっている呪いが解かれることを期待し。神聖な空間、皇帝のいる教会に足を運んだ。
皇帝は彼女を見るや否や、何か不吉な異能を彼女が持ち合わせていることに気がついた。皇帝は親2人に席を外す事を命じた。
「其方、名前は」
牧師の服を着た皇帝は言った。
「少女よ。其方は自分がどう能力を持っているのか知っているのか?」
皇帝はその言葉を聞いて、彼女が生まれて来ては行けない、禁忌の子供であることを確信した。
「そこでじっとしていてくれ」
皇帝は彼女の命を葬り去ろうと光弓を構えた。
「ちがう」
ズドーン
その音を聞きつけた2人が戻るとそこには皇帝の死体があった。父親は自分の子に恐怖して、その場から立ち去ろうとすると娘に命を刈り取られた。
「皇帝とやらを終わらせに行く」
彼女は転がる皇帝と自分の夫の死体を見て母親はこの事を書物に残した。
その後、皇帝は順番に殺されていった。彼女には皇帝殺しと名が付き、彼女を信仰する団体ブラックスワンが広がっていった。
◆◆◆
「皇帝殺しは生まれつき青い髪を持つ、最後の皇帝にして、最強の英雄、アルフレードの命と引き換えに封印された。その封印の真上に宰領学園の円卓が作られた。ポセアリウスが出来上がった。宰領学園は全国でルクス上位者を集めるためにあり、円卓はその中でもルクスが高い者を集め、育成するために作られた。円卓の能力者たちは何百回も皇帝殺しを倒すために駆り出され、散っていった」
「僕はね勝率だとかそういうものを確率で表してしまうのは好きじゃない。だがその皇帝殺しを倒す事は限りなく可能性がゼロに近い事だろ。許容することはできない」
鹿撃ち帽にトレンチコートのホームズは強い口調で言った。
「無理だ。
「ほんとうにそうでも、そんなことできません。私たちの命を何だと思っているのですか?」
ういろうは声を張る。
「ういろう。嫌ならお前は来やがるな」
八橋は弱気なういろうをあしらう。
「そんなこと言われても行きますよ」
「ダメだ。今のお前が来たところで俺らは有利にはなりやがらないぜ。嫌なら来るな」
「いきます」
「じゃあ、蕨の親父。テレポーターの蘭だけ連れて行っていいか。非常時に逃げだせるように。頼むぜ」
八橋は言う。
「ああ。許可する。君たちに託したよ」
「大河指環を見せろ」
蕨の右手に付いていた光弓のリングが黒ずんでいた。
「神器が眠ったんだな」
蕨は光弓のリングを外す。
「俺が使えなかった神器をお前に託す。ハデスのクナイだ」
漆黒のクナイを蕨は強く握る。
「大河、お前には七人の皇帝の血が流れてる。英雄と同じ、青い髪を持っている。誇れ。大河、俺が成し遂げられなかったこと、俺の悔しさ、俺が歩んできた人生の全部託したぞ」
「持ってくよ。でも、親だからって特別扱いする訳じゃない。俺は殺された皇帝の悔しさも、散ってった円卓だった人の人生も、全部持って行く。持ってって、ぶつけてやるよ。皇帝殺しに」
(強くなったな。俺の知らないうちに。優しくなったな。舞雪ゆづりだ。大河。お前は円卓の最後の希望だ。)
「頑張れよ」
蕨に涼風は応援の言葉を贈った。
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