第7話:主夫はこの状況に付いていけない

騒ぎを聞きつけ、ギルドマスターのヨハンが出てきたのだ。


「何事だ!」


リオニーさんは淡々と言った


「ごみ処理だ!」


ヨハンは激怒した


「お前か!こんなに滅茶苦茶にしたのは!!ギルド本部へクレームを出すからな!」


そう言って、彼は彼女に詰め寄った、するとリオニーさんは彼の胸倉を掴んだ。


「お前達が冒険者の品位を落とした事は死んで償え…そして、ヨハン、お前の裏についても調べは付いている」


ヨハンの顔色はみるみる悪くなっていく


「そ、そんな事はない!我々は仕事をし、この村には必要な人材だ!それに何だ裏とは!」


「そうか、白を切るか、では早速、証拠の一つを見せよう」


彼女はそう言うと胸倉を離し、一枚の紙をポーチから取り出し見せた。


「お前が裏で横領していた証拠の一つだ、この紙は商会から押収したギルド…いや、お前と商会とで行われていた、水増し請求の証拠だ。

お前が協働している商会は既に私に潰された、そして、さっきの冒険者はお前とグルで、邪魔者を消す為の用心棒って所だろ?だから村で問題を起こしても放置し、黙っていた…違うか?」


彼女はその紙を見せつけ、彼は逃げられないと悟ったのか、項垂れた。


「で、既に本部には報告している、数日後には本部の人間が来て、みっちり調べるだろう、その間は檻にでも入って居ろ…ついでにあの受付嬢もだ!」


周りは、え?って顔だ


(え?何で?受付嬢が今ここで出てくるの?突然どうしたの?)


「あいつはリヒティを馬鹿にした、価値も知らん奴め、私の未来の夫を馬鹿にした罪は重いぞ!!」


「「えええええええええ!!!!!!!」」


周りで見ていた冒険者は一斉に同じ言葉で同じリアクションを取った。

それだけ衝撃的な話なのだ、真面目な空気が一気に緩い空気になる…


(リオニーさん…それはただの私怨です…しかも公開プロポーズとか…)


僕の魂は口から出ている、あー…このまま天国へ行く所だった、いや、母さんを治してから行こう…


その日、関係者は皆、檻に入り、ギルドは一時的に閉鎖状態となった。

勿論冒険者からは批判や不満が出たが、リオニーさんの殺気でみんな黙った。

尚、僕を馬鹿にしていた受付嬢は忽然と消えた…らしい

全てが丸く収まりめでたしめでたし…とは行かなかった。


翌日、僕は貰った報酬で買い物に出た、久々にお肉を買い、母さんの好きなシチューを作ろうと思ったからだ。


(喜んでくれると嬉しいな)


なんて考えながら家に入ると…


「やぁ、リヒティ」


「えぇ…何で家に居るんですぅ…?」


そう、リオニーさんだ。

何故、彼女が僕の家を知っているのか…そして何しに来たんだ…

そう思って居ると、母さんの部屋が開いた。


「リヒティ!!」


母さんは不安定ながら立っていて、ゆっくり歩き、僕に抱き着いた。


「あ、あれ、母さん、何で歩けるの…?」


母さんは満面の笑みで言った


「リオニーさんが薬をくれたのよ!母さんは元気になったのよ!」


「はいぃ・・・?」


この瞬間、僕は借金10万ゼニーになった…


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■あとがき


中の人の友人が、「おい、早く出せ、ジージェネあげるから!」と言う名の賄賂を貰ってしまったので、今日だけあと1本出します。22時に上がる予定です。

キリが良い所なので、モヤモヤはしないと思います。

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