第6話:主夫はリオニーを止める

僕は彼らの名前までは知らなった…こんな時に何か言っても、状況は変わらない…

彼らは僕が黙っている事が気に入らなかったのか、僕を蹴り始める。

みんな誰も助けてくれない、みんな見て見ぬ振りだ。


「止めなさいよ!あんた達子供相手にそこまでするなんて!」


そう言って止めに入ったのは、アダルさんだ。

冒険者達は彼女をイヤらしい目つきで見ると、彼女へ近づく。


「お前が慰めてくれるなら止めてやっても…良いんだぜ?」


こいつら…屑だ…!!

助けないと…そう思い一人の冒険者の足にしがみついた。


「彼女は…関係ありません…だから彼女に手を出さないで下さい…」


彼は自分の足を向き、まるでゴミを見る様な目で睨んできた


「うるせぇ!!弱っちぃ野郎だな、おめぇにもう様はねぇ、離せ!」


「…弱くても、弱くても僕は離れません…!」


彼は僕の態度にイライラしたのか、剣を抜いた。


「離れねぇなら、仕方ねぇ、あの世で後悔してな!」


剣を振り上げ、振り下げようとした時、大剣が阻む。

大剣を握っていたのは、リオニーさんだった。

だが、彼女の様子がいつもと違う。


「お前達…何をした?」


彼女をよく見ると、いつものレオニーさんではない、明らかに…

彼女の周り火の粉の様な物がパチパチと音を立てているし、目つきはいつになく鋭く、美しいのだが、何か恐怖と不安を覚える様な異様な雰囲気だった。

彼女の威圧が完全に場を支配し、誰一人として動けない。


「やはりこの村のギルドは問題が有るな…こんな屑を野放しにするとは…このギルドは一度解体するべきだ…!」


そう言いながら、彼女は彼の剣目掛けて一振りする。

大きな大剣を軽々と持ち、剣筋が全く見えなかった。

一瞬で冒険者の剣が粉々に砕け散った。


「ひぃ!!!」


「まだだぞ?リヒティに手を出したんだ…死ぬ一ミリ手前まで徹底的に殺してやる」


彼女は完全にキレている、目は獲物を狩る獅子の如く、本気で殺す気の様だ。

彼女は冒険者3人を相手取り、なぎ倒していく、一方的な暴力で。

彼らは手が出ず、ただ殴られ、蹴られ、飛ばされ、人間とは思えない暴力を見た。

冒険者3人は完全に戦意を失い、心が折れてる様に見える。

このままやり続ければ、死ぬか、廃人になってしまうと思う。


「リオニーさん、止めて下さい…!」


僕は彼女の後ろから抱き着き彼女はピタッと止まった。


「リヒティ…、こいつらはお前を傷つけたんだ、まだだ、まだ足りん、私は彼らを罰する理由がある!」


「ダメです…貴方に外道になって欲しくないんです!確かに…彼らには困ってました、でも、彼らを殺す事が正しい事とは思いません…」


「ならどうする?腕の一本、足の一本でも切り落として再起不能にするのか?」


「だから…ダメです!そんな事したって、何も変わらないでしょ…!僕は…誰にも傷ついて欲しくないんです!彼らにも傷ついて欲しくないんです!リオニーさんが人を傷つける姿が見たくないんです!」


「…分かった、リヒティがそこまで言うなら…」


必死さが伝わったのか、彼女はやっと止めてくれた、するといつものリオニーさんに戻ってくれた。

ギルド内は嵐が有ったのかと言う位、荒れていた。

そして、騒動を聞きつけてかギルド内部から、男が出てきた。

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