第5話:主夫は初報酬に喜ぶが…
森へ着くと、生い茂った緑で空気が良い。
昔、僕は森で良くキノコを探したり、木の実を探したりしていた。
理由は勿論、食事だ。母さんが倒れてから、収入が無かったので、森で食べ物を探し、飢えを凌いでいた。
僕にとって、この森は庭同然、何処に何があるか大体分かる。
「質の良い薬草は、この先に有る岩陰にあるので、そこへ行きます」
リオニーさんは首を縦に振った。
岩陰へ着くと、僕は薬草の採取を始めた。
リオニーさんは僕の後ろでずーっと僕の薬草採取を見ていた。
「リヒティは薬草の取り方が上手いな」
「そうですか?過去に読んだ本を見て、その通りにやってるだけですが…」
「正しいやり方で取る人は少ないんだ、ただの草と思っているからな」
そんな話をしながら、20本程採取した。
「リヒティ…幾ら何でも取り過ぎだ」
「え?薬草の場所はまだ9か所程ありますよ?」
「…そうか」
そう言って僕達は村へ帰って行った。
村に戻ると、ギルドへ向かい、報告をしに行った。
リオニーさんは調べたい事があるらしく、僕達は解散した。
「アダルさん、報告に来ました」
「おかえりなさい、薬草ですね。こちらで査定しますのでお待ちください」
そう言って、彼女は査定をする為、カウンターの裏へ消えて行った。
数十分後、彼女は戻ってき、依頼報酬の説明をした。
「リヒティさん、今回の依頼報酬ですが、薬草5本は依頼品とし、良質な薬草で鮮度も良いので、報酬は20%アップします、こちらの報酬は1200ゼニー。そして、残りの15本はギルドで買い取りとなり、一本200ゼニーとなります。合計4200ゼニーになります。にしても…これだけ質の高い物、よく見つけましたね…」
「ありがとうございます!そうなんですか?本に書いてあった通り探しただけですが…」
そんな話をして、僕は報酬を受け取った。
初めての報酬で4200ゼニー、今日は母さんに美味しい物を買って帰れる!
僕はほくほく顔でギルドを出ようとすると、不注意で冒険者に当たってしまった。
「あ、すみません」
そう言うと、冒険者からいきなり殴られ、僕はその場で蹲った。
「何処見て歩いてんだよ、ガキが!」
殴った人を見ると、3人組の男で、この村でも有名なガラの悪い冒険者達だ。
よく問題を起こし、揉め事になるが、村で止めれる者が居なくて、我が物顔で暴れるしかし、ギルドは何もせずに放置している、まるで黙認しているかの様に。
突然の衝撃で理解が追い付かない、そして…息がし辛い…
「うう…ゲホッゲホッ…」
冒険者は蹲った僕を蹴り倒し、大声で言い出した。
「おい!誰にぶつかったと思ってんだ!」
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