第2話:主夫は冒険者リオニーと出会う
大きな気迫のこもった声がギルド内に響き、静寂な空間になった。
すると、その女性が徐々に近づいてきた。
燃える様な赤い髪に、整った顔立ち、適度に引き締まった体だが生傷が絶えない、背中から担がれている、大剣が印象的で、誰もが振り返ってしまう様な女性だ。
「お前ら、子供、相手に何言ってんだ…?」
静かな怒りを感じる声に、周りは黙り込んでしまった。
僕は目立ってしまう事が嫌で、彼女を止めにかかった。
「あの、別に良いんです、主夫で冒険者なんて無謀ですし…」
女性の目つきが変わった、鋭い眼光で僕を見ている
「主夫…だと?」
「はい…不遇ロールの主夫です」
彼女は僕の肩を掴み変な事を言い出す。
「お前、彼女や嫁は居ないな?」
「え、ええ…」
「よし!私と共に来い!!」
そう言うと、彼女は強引に僕の手を引き、ギルドの奥に連れ込んだ。
ギルドの奥にある一室に入れられると彼女は勝手に話し出した。
「私はリオニー、王都でSランクの冒険者をやっている、22歳女性、独身だ」
「趣味は鍛錬と武器集めだ、君の事を教えてくれ」
と淡々と自分を語りをし、僕の事を話せと言う。
僕は内容よりも、状況が分からず、圧倒されている。
「は、はぁ…?どうも、リヒティです…趣味は読書です…」
彼女はうんうんと話を聞き、質問をしてくれる。
「リヒティと言う名前か、良い名前だな、宜しく。君はどんな本を読むんだ?」
「主に料理とか…あの…なんでこんな会話を?」
「それは…」
彼女は恥じらう事無く、堂々と言った。
「君と結婚がしたいからだ」
「…すみません、ちょっと何言ってるか分かんないです」
この人…おかしい、初対面の人間に求婚してるし、主夫なんかの僕にする時点で、この人はきっと何か大きな勘違いをしているに違いない。
「リオニーさん、僕は貴方を知らないですし、結婚なんてする気は有りません」
「僕なんかでは貴方に釣り合いませんし、いきなり言われても困ります」
彼女は僕の話を冷静に聞いている様なのだが、目がぎらついている…
「リヒティ、では、友達から始めよう!それで文句は無いな!」
彼女は笑顔なのだが、体から放たれている威圧感が凄い…
これ断ったら切られると思う位に…
「あ…はい…友達からでお願いします…」
「うむ、宜しく頼む」
こうして僕は半ば強制的にリオニーさんと友達になった。
しかし、僕は知らなかった、主夫が女性にとってどんな存在なのかを。
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