不遇ロールな主夫だけど、嫁さんが更に強くなって、案外悪くないです
ゆにすた
第一章:リヒティとリオニーの出会い
第1話:主夫だと分かり、失笑と笑い者になる
僕の名前はリヒティ。
この村に住む15歳の青年で、病気の母と細々と暮らしている。
今日は、遂に待ちに待った、「ロール判定の日」だ。
ロール判定とは、自身が持つ能力を判別する為の儀式だ。
この世に住む生き物は何らかの特殊な能力を持っているらしく、
能力を上手く付き合いながら生活するのが常識となっている。
例えば、ロールが料理なら宿屋に、剣士なら冒険者と言った具合だ。
数は数百種類にもなると言われ、人気な職は、聖騎士や竜騎士等の戦闘で強さを発揮するロールだ。
僕もこの日の為を楽しみにしていて、やっと母さんを楽させてあげられる。
そう思って居た。
教会へ行き、神父様から判定をしてもらう。
すると…
「貴方のロールは、主夫です!」
「しゅ、主夫…」
はい、僕の人生は今この瞬間で終わりました。
主夫…それは、外れロールの中でも5本の指に入る程、不遇なロールだ。
このロール、家事全般が得意になるらしい。
らしいと言うのは、このロールは絶滅危惧種レベルな程レアだからだ。
じゃあ、家政夫でもやれば良いと思うかもしれないが、
このスキルは有る条件がある、それは「嫁」に対してでしか発動しない。
発動したとしても、家事全般が得意になる程度…
つまり、ボッチには全く恩恵が無い、戦闘でも役に立たず、
全く自分に恩恵が無いロール。
何故なら生きる為の金銭が全く稼ぐ事が出来ない。
相手に依存し、男社会では本当に肩身が狭いのだ。
僕は絶望しながら家に帰った。
家に帰ると、病床の母が声を掛けてくれた
「どうしたの?リヒティ?」
僕は空元気で言った。
「何でもないよ!母さん、明日から冒険者になるよ!」
母さんは僕が凹んでいる事を察していた様だ。
「無理はしたらダメよ、リヒティが生きてさえくれれば、母さんは嬉しいのよ」
(ごめんよ、母さん、でも僕が頑張らないと)
そう思いながら、僕は家事を始めた。
翌朝、僕はギルドへ向かった。
ギルドとは、冒険者の組合で、依頼者から依頼された事柄を請け負い、
達成し、金銭を受け取る事が目的な営利団体だ。
ようは、何でも屋だ。
此処には、腕自慢や血の気の多い人でごった返している。
僕みたいなひ弱な男には場違いな場所だ。
びくびくしながらカウンターへ行った
「いらっしゃいませ、本日はどの様なご用件で?」
「すみません、冒険者登録をしに来ました」
「分かりました、それではこの用紙に記入してください」
名前、歳、住所、ロール、得意な事等を書く必要がある。
此処で嘘を書くと、二度と冒険者として活動できなくなるらしい。
僕はしっかり確認し、書いた紙を受付嬢へ渡す。
「お願いします。」
「はい、確認します。」
確認していると、受付嬢は徐々に笑い出した。
「あの…、主夫で冒険者になるなんて…!!」
そう、馬鹿にされている。
分かっている、主夫なんかで冒険者が務まらないのは。
でも、生きる為には仕事をしないとならないし、僕は母さんを治す薬を買いたいから。
それを聞いた周りの受付嬢や冒険者が一斉に笑い出した
「おい、聞いたか?主夫だってよ!!」
「ははは、可哀そうだな~」
「あんな不遇ロールでよく、ここに来たわね」
「冒険者になっても犬死するだけじゃないの?」
…酷い、僕だってなりたくてなった訳じゃない。
悔しくて泣きそうだった、必死に下を向き、耐えた。
僕には、やるべき事が有る…こんな事で挫けたらダメだ。
そう言い聞かせていた。
そこへ一人の女性が割って入った
「貴様ら!いい加減にしろ!」
この女性との出会いがリヒティを大きく変える事となる。
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