メアリーの作戦(2)
翌朝。
作戦決行の日、お菓子専門店では。
「いらっしゃいませ」
「店主は、いるかね?」
「なんの御用でしょうか?」
「実は、この国の王様が、お忍びで店主にお会いしたいと言っている」
すると、昨日の店員が王と聞き動揺し。
「えっ!? 王様が!?」
「ここには、世界一美味しいお菓子があると聞き。王様自らお忍びで来ている。店主はいるかね?」
「しばらくお持ちください。今、店主を呼んできますので」
店員はあわただしく店の奥に行き。
すると、平然と店主が店の奥から現れ。その時、王が店内に入って来た。
「失礼する。ここが世界一のお菓子を作る店だと、噂になっている店かね?」
店主は、お忍びの格好で店内に現れた王を見てひざまずき。
「王様。世界一などと、とんでもありません。何かのお間違えでは?」
「そうか、この店ではないのか? せっかく城の料理人として、召し抱えてやろうと思ったが、違うのか!?」
それを聞いた、店主の顔色が変わり。
「王様。城の料理人として、召し抱えると言うのは本当ですか?」
「本当だが、どうかしたのかね?」
「私の自慢のお菓子を食べてみてはいただけないでしょか?」
「それは、無理だな」
「どうしてですか?」
「私が探しているのは、世界一のお菓子を作る者のだ……。どうやら、私の後ろにいる者がそのようだな」
王の横に姿を見せたは、少女。それを見た店主は驚き。
「その女の子が、世界一ですか!?」
「私に何か文句でもあるのかね? それとも私の目が節穴だと言うのかね? 子供でも美味いものを作れるのなら、年齢は関係ない!」
すると、店主は真剣な表情で。
「王様に申し上げます! その子供と勝負させてください!」
「ほぉ、勝負とな!? それは面白い!」
すると、その少女は。
「その勝負、受けて立ちます。王様に申し上げます。もし私が勝ったら、そこにいる店主が持っている、お祖父さんのレシピ本と他の本も返していただきたいのです」
そのことに、店主は動揺もせず、平然とし。王は隣の少女を見て。
「返していただきたい? どういう意味だね?」
「……」
王は真剣な表情を見せ、店主を見た。
「店主に聞く? その本をとやらを持っているのか、正直に答えよ!?」
「……持っています」
「事情はわからぬが、面白い! その勝負、私が見届ける。後日、詳しい詳細を通達する。2人ともよいな!」
2人とも承諾し。王とその家来たちは店を後にした。
メアリーは王に化け。クッキーは家来に化け。あと、馬と家来数人は魔法で作り出し。メアリーは作戦を実行した。しかし、前王の山小屋に戻ったエミリーは、心ここにあらず。その原因は、クッキーの言った一言。本当にこの作戦でいいの。
メアリーの作戦はいくつかあった。メアリーが王に化け、本を取り戻す作戦。しかし、それではあまりに強引すぎる。かえって怪しまれる。次に、魔法禁止違反で取り締まり、全てを没消する作戦。それでは、かえってことを荒立て、大騒ぎになり、王に知れる。
そこで、お菓子対決という方法を考えた。城の料理人として召し抱えると聞いて断る料理人はいない。子供との勝負と聞き、油断し、勝をみてきっと勝負にでると思い。この作戦を考えたメアリー。その作戦は、筋書き通りにことが運びうまくいった。
昨日から、クッキーはこの作戦に疑問を抱いた。
確かに、メアリーが王に化けてさえいれば、この勝負はエミリーの勝ち。この作戦なら、レシピ本を取り戻せる。もちろん、正々堂々と勝負してもエミリーが勝利する。しかし、それではダメだとクッキーは言う。よくわかんないけど、何かが違う。本当にこの作戦でいいのか、と問うクッキー。
作戦は実行したものの、エミリーはそのことが引っかかり気になっている。調理場の椅子に座りため息を一つつきながら。今更、中止はできない。もし中止すれば、魔法の使ったことがバレる。しかし、これは何とか理屈で通せる。この魔法は結界の中で使い。町では使っていない。だが、問題は王の名前をかたったこと。後には引き返せない。そんなことを考えていたエミリーは、とんでもないことを言い出した。
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