メアリーとの出会い(3)

 メアリーが思い出したこととは、去年のこと。前王が料理の研究をしていると、味見をするのはいつもメアリーが担当。

 メアリーは、料理やお菓子作りには全く興味がなく。もっぱら、魔法の研究に夢中だった。

 ある日、前王がいつものように料理の研究をしていると。

「メアリー、最近思うだが、あの破れたページ。100番目のレシピを見つけるのは、もう無理かもしれない」

「えっ!? 何で?」

「あれから12年経つのに見つけられない……。しかし、エミリーなら100番目のレシピを見つけることができるはず。最近よく思うんだよ……。それと、エミリーが12歳になったら、ここへ連れて来て、お菓子作りや料理のことを教えたいと思っている……。この魔法の山小屋を見たら驚くだろうな」


 メアリーとしては、この部屋のことを説明することは、前王の楽しみを奪うような気持ちだった。エミリーはそのことを知り。

「メアリー、ごめんなさい、気を遣わせて。私ね、もう行くところがないの。ここで暮らすしかないの。それにこの部屋、使って上げないとお祖父ちゃんに申し訳ないし……。必ず、お祖父ちゃんを探し出して見せるから」

「わかった。でもエミリー1人では探させはしないからね」

「えっ!? それって、一緒に探すってこと?」

「何言ってるの!? 当たり前じゃないの!? 友達でしょう!? それに、私にとっても大事なおじいちゃんだから」


 エミリーは目頭を熱くさせ。

「ありがとう嬉しい……」

「もー、泣かないでよ!?」

「大丈夫、泣かないから……。私決めた。お祖父ちゃんが見つかるまでは、私泣かないから!」

 それは、エミリーの決意だった。

「えー!? 本当に!? そんなこと言って、大丈夫!?」

「大丈夫、だって。私には、心強い味方、世界一の魔法使いがついているから」

「それって、魔法が目当てってこと? 私はどうでもいいわけ? じゃあー、魔法はなしね!」

「えー!? 何でそうなるわけ!?」

「ほら!? やっぱり、魔法目当てじゃないの!?」

「ばれちゃった!?」

「そうなの?」

「冗談に決まってるでしょう……! 魔法がなくても、頼りにしているんだからね」

「本当に!?」

「そりゃ、ちょっとは……だって、魔法って凄いんでしょう? この山小屋だって凄いし」

「まぁね! 確かに、魔法村では、1番だからね!」

「えっ!? そうなの? 何か自慢してるー。でも、本当にありがとね! これから友達として、よろしくお願いします」

「何急に? もー、調子狂うな! けど、こちらこそよろしくね! あっ、言っときますけど、王女様だからって、特別扱いはしないからね」

「はーい、わかりました」

「返事は、はい! でしょう?」

「その返し、なんかお祖父ちゃん似てる」

「実は、私もよく言われてたんだけどね」

「そうなの? 実は、私も言われて」

「知ってるよ。おじいちゃんから、いろいろ聞いてるから」

「それって、なんかずるいー! 私、メアリーのこと何も知らないよ!」

「じゃあー、何が知りたい?」


 実は、エミリーは前から、前王とメアリーと何処で知り会ったのか。メアリーってどんな子なのか気になり。そして、何故、この山小屋に料理研究所があるのか。他にも、魔法村のこととか。いろいろ知りたいと思っていた。

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