Scene12

今日の授業もハードだった。受験シーズンだもんなあ、と思いながら冷めたコーヒーを流し込む。


「忍野先生、村中先生、連絡きましたよ。明日行ってきてください。丁度塾も休みですし、鳶くんも一日中あそこにいるらしいので。」


嘘だろ、まだ一週間しか経っていないというのに。


「あの、途中経過とか、ではなく?」


「ええ、途中経過というより、ほぼ確定の上で、聞きたいことがあると。」


ほぼ確定とは、本当にすごい。


「ほーう、やるじゃねえか焼きナス。」


それじゃ、明日の十二時にこの間のファミレスな、と約束して忍野さんは一足先に奥さんの待つ家に帰って行った。


明日もきっと彼は遅刻するんだろうな。





「やっほ、忍野さん、村中くんっ。」

老けたルックスに似合わず、爽やかな口調で一週間ぶりの挨拶をする鳶さん。


「あの、本当にその拳銃とナイフ、くるくるするの止めてくださいよ、こわいですって。」


飛んできたらどうするんだ。いや、その前に忍野さんの戦闘スイッチが入ったらどうしてくれるんだ。


「それで、どこまでわかったんだよ焼きナス。」


調べてもらって、焼きナスってはあんまりですよ、ほんとに。


「あのさ、絶対自分で調べられたよ。僕、今回電話かけただけだったもん。」

もう一度言っておくが、彼は三十二の老けた大人なわけで、ほっぺを膨らましながら拳銃とナイフをくるくるさせるのはいかがなものかと思う。本当に。


「あ?」


シワシワ、ほら、眉間。


「最後にこれだけ確認。」


さっきまで爽やかな声色だったのに、急に真剣な面持ちになって、少し萎縮してしまう。


「なんだよ。」





「君、奥さんといくつ違いなの?」

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