第7話

ゴ~ンゴ~ン


 十二時を告げる鐘が鳴ります。


怪盗のことを知らない招待客はこれから本番が始めると一斉に静かになります。僕たちも緊張のため静まり、完全な静寂が生まれました。そして突然


    フッ


 と電気が消えます。いきなりの出来事に客人はざわめき出した、その間に素早くネックレスのところまで行き、ネックレスをスリます。かなり単純ですけど、僕程度じゃそのくらいしか考えつきませんでした。正直、十二時ピッタリに電気が消えるよう調整したり、偽物を作ったり出ていっぱいでした。

 

そして数分もしない内に電気がまた点きます。けれど、台座にはネックレスは有りません。当たり前です、僕が盗ったのだから。

  

 そして、これから事態の説明とかがあるのでしょう。そうのんびり構えていたら、後ろから羽交い締めにされてしまいました。突然の出来事に呆然とする中、御館様の執事が僕に近づいてきて、ポケットの中をまさぐり、ネックレスを取り出しました。え?なんで気づいたので?まさか、サルビア嬢は気づいていたのでしょうか、とにかく混乱が解けません。


「客人の皆様、申し訳ない。我が使用人が乱心し、家宝であるこのムーンストーンの


 ネックレスを盗った。しかし此処にいる名探偵、サルビア嬢のご活躍により、無事に取り返すことが出来た。重ね重ねこの騒ぎ、お詫び申し上げる」


「では、十二時を回ったのでこれより、このベコニアを、我が一族の長女として正式に認め、その証として家宝の引継を行う。ベコニア、前に。此処に七十三代目ってええー」

 引継を行う最中、御館様がいきなり悲鳴を上げました。

 

「ネックレスに刻まれているはずの印がないだと!偽物だ!おい、どういうことだサルビア答えろ。こやつが盗むだけなんだろう」

おかしい、あのときお嬢様が首に当てていたとき印は確かにあったはずです。それがない?何故でしょう。僕はしくったのか。そんなことを考えていると、


「ははは、確かに私は彼が盗みを犯すと言ったよ。ただ、その前にあの予告状は本物だと伝えたはずだよ」


 笑いながらサルビア嬢が言いました。え?やっぱり騙せてなかったんですね。それよりどうやってモンステラはネックレスを盗んだもでしょう。午前零時、ネックレス(偽物だったけど)を盗んだとき誰ともぶつかってないのですから不可能なはず。


「では、答え合わせをしようか。どうやって怪盗モンステラはネックレスを盗んだのか、そもそも彼は誰に化けているのか。公爵様かもしれないし、客人の一人かもしれない。『私がモンテスラです』という名札でもしていてくれれば、楽なのだが、現実はそうではない。勿論私に化けていて、適当なことを言って誰かに罪を擦り付けようとしているのかもしれない。まあ、私にはこの事件の真相が分かっているがな。」

そう言って彼女は少し言葉を切る。話についていけない客人やアジサイ家の面々も黙って彼女の言葉を聴きます。彼女が口を開く

「さて―――」


*謎解き及びエピローグは十九日、午後三時に予約済みです

謎が解けた方はコメントにどうぞ

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