第3話
「なんて事だ。あの怪盗モンステラに狙われてしまったなんて、これじゃあベコニアがアジサイ家を引き継げなくなってしまうではないか」
手紙を見て、御館様が叫びました。念のために説明しておくと、怪盗モンステラとは最近巷で話題になっている怪盗です。満月の夜のみ活動して、どんな状況でも必ず盗みを行うという信条のもと、高価な宝石などを主に狙って今のところ狙った獲物の盗み自体は成功しているというすごい怪盗です。得意技は鍵開け、盗聴など簡単なものから、体格の違う相手でも可能な変装と声帯模写など超人のようなもののあります。後は美人なパートナーが居て、その人とは恋仲だのいい加減な噂もあったりするので噂の全部を信じるわけではありませんが。ただ一つ、確実なのは、狙われたが最後、壮大な計画の元、絶対に盗まれるということだけです。だから流石にあの御館様でも、関係者に事情を説明して舞踏会を取りやめるだろうなと思っていたら、
「御館様、諦めるにはまだ早いです。あの名探偵を頼ればきっとなんとかなるはずです」
と、余計なことをほざく人がいました。失敬、言葉が荒くなってしまいました。
恐らく、あの名探偵というのはサルビアと呼ばれる人のことでしょう。彼女は最近有名になってきた若手探偵で、先程説明した怪盗モンステラに、その知恵をもって盗まれたものを取り返した事があり、それによって一気に有名になった人です。この人も御伽の世界に居そうです。
「そうだな、そうするしかあるまい。おい、誰かそのサルビアとやらに早く連絡をとれ」
御館様が、若手探偵の情報を出した人にそう命令を出しました。どうしましょう、思ったよりも大事になってしまいました。こうなったら自力で盗んでみましょうか。
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