第14話『序章篇最終話・始まりの春風(1)』


四月初め。

桜が鮮やかに咲き誇る中、御崎坂高校は新学期の始業式を迎えた。


始業式後、学年のクラス分けが発表された。

隆志はC組、朝也と伸太郎はE組だった。


新学期一日目終了後、親友三人は校舎玄関で待ち合わせ、校舎を出た。


「あーあ、ついてないな。」

桜の花びらが舞う校舎玄関~校門間の道を歩きながら、朝也が欠伸してぼやいた。

「ついてないって、何がだ?」

隆志の問いに、朝也は、

「またこいつと同じクラスなったからさ。」

顎で隣の伸太郎を指していった。

「‥‥。」

伸太郎は無言でふくれた。

「確かに。‥二年連続だもんな‥。」

笑いながら隆志は同情した。

「ああ、全くだ。」

すると伸太郎は朝也を指先でつつきながら、

「ツンデレは良くないよ朝也クン。」

からかうように言った。

朝也はその頭に抱えていた鞄を思いっきり叩き下ろした。

「ハハ…、そういえば、」

ぶっ叩かれた頭を痛そうにおさえている伸太郎を見ながら、隆志は思い出したように言った。

「ウチのクラス委員長、紗奈になった。」

「‥姉貴に?」

「ああ。」

「へー。新学期早々エンジン全開だね姉貴は。」

感心したように伸太郎は言った。

「まあ双子とはいえ、アホのお前と違って紗奈は次期生徒会長候補筆頭と噂される程成績優秀で人望も篤いからな。」

「うるさいなー。」

朝也の毒舌に伸太郎は苦笑した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る