第15話『始まりの春風(2)』


やがて三人は校門を出、下校路である県道沿いの桜並木道に入った。

桜の木々は見事な程満開に咲き誇っていて、風が吹くたび花びらが雪のように舞い散っていた。


「お前さ、今後ちづるちゃんとはどうすんの?」

桜並木道を歩きながら、伸太郎は隆志に尋ねた。

隆志は舞い落ちる花びらをひとつ手にとりながら答えた。

「ああ、あいつは自由にさせるつもりだ」

「自由?いいのか?」

「一応、毎日夕方に自分と公園で待ち合わせして帰ろうという約束はしている。」

隆志は指先で花びらを弾いた。

そしてまたひとつ花びらを手にとった。

「ま、最近あいつは、ほぼ毎日のように公園でカオリと一緒にいるようになったからな。仮に一人でどっか行ったとしても心配は要らないだろう。」

「ずいぶん信頼してるんだな。」

桜の木々を見上げながら朝也は言った。

隆志はふっと笑い、

「あいつ、雰囲気が年不相応な程年季があるように感じるからな。‥伸太郎は勿論、恐らく自分よりも性格は大人だろう。」

「ボクより、は余計だよ!」

伸太郎のツッコミを聞き、隆志はおかしそうに笑いながら手の花びらを吹いた。

花びらは隆志の手から離れ、地面に落ちている花びらの上に重なり落ちた。

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