第12話『公園(8)』




その後、隆志、ちづる達は公園でそれぞれの時間を過ごした。


やがて時計の針は16時を回り、日は暮れ気温も大分下がってきた。

「そろそろ帰るか。」

マフラーを巻き直しながら隆志はちづるに言った。

「はい。」

ちづるは頷くと、持ってきていた『坂の上の渚』を胸ポケットにしまいこんだ。


「もう帰っちゃうんだ‥。」

帰り支度を始めた二人を見て、カオリが少しさみしそうに言った。

するとその様子を見て伸太郎が、

「へ~、さみしそうだねカオリちゃーん。」

ドカン。

大砲並みの威力を込めた鳩尾蹴りで伸太郎を沈めてからカオリは、

「また遊ぼうねちづる!」

大きな瞳を輝かせ、明るく挨拶した。

「うん。またねカオリ!」ちづるも明るく挨拶を返した。

「じゃあな。」

隆志も親友の二人に手を上げて言った。

「ああ、またな。」

朝也も手を上げて答えた。

「次会うのは、始業式だろうな。」

「そうだな。」

「さよなら。朝也さん、伸太郎さん。」

ちづるも二人に挨拶した。

「おう。また会おうな。」

「‥じゃーね‥、‥ちづるちゃん‥。」

カオリの必殺飛び鳩尾蹴りを食らって悶々と地べたを転がっていた伸太郎も、鳩尾を抑えながら何とか挨拶を返した。


そして、隆志とちづるは公園を去っていった。

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