第8話『公園(4)』



すると、仲良くなった二人の後ろから、

「‥‥痛かったぞ‥。」

カオリに吹っ飛ばされた隆志が、鳩尾を抑えながらよろよろと戻ってきて恨めしそうに唸った。

カオリはちづるに抱きついたまま隆志を見て、

「タカシがか弱い乙女をジャジャウマとかいうからだよー!」

アカンベーして言った。

隆志はその小生意気な頭をガシと掴んで、

「‥か弱い乙女は飛び蹴りなんかシネエヨ‥」

顔を近づけて言った。

カオリはプイと顔をちづるに向け、

「もー。ちづるさー、タカシは時々バカシになるから困るんだよー。」

口を尖らせて言った。

それを聞いた隆志はボソと呟いた。

「‥お前だって時々カオリからガオリになるじゃ‥」

「誰がガオラだっ」

みなまで言わせずカオリは再び鳩尾蹴りを炸裂させた。

再び吹っ飛んでった隆志を無視して、カオリはちづるの手を握り公園内にある遊具の広場を指した。

「一緒に遊ぼ!」

可愛く笑って言った。

「ええ。」

ちづるもカオリの小さな手を握り笑顔で頷いた。


その後、ちづるとカオリは遊具の広場で仲良く遊んでいた。

まるで姉妹のようだなと、隆志はベンチで缶コーヒーを飲みながら二人の様子を眺めて思った。

ふと隣を見ると、ちづるの読んでいた『坂の上の渚』が置いてあった。

何気なくそれを手に取りページをめくった。

自分もこれ結構好きだったなと、隆志は読み流しながら懐かしく思った。

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