第4話『出会い(3)』
(‥こいつ、いよいよおかしいな‥)
半ば、というかもはや完全に呆れた隆志はしばらく思考していたが、やがて決断して言った。
「分かった。お前をうちに居候させる。」
「居候?」
首を傾げたちづるに、隆志は説明した。
「ここに住ませてやるって事だ。‥こんな寒い中頭のおかしい少女を外に追い出すのも気がひけるしな‥。」
ボソと呟いてから、
「幸いうちは、以前から両親とも仕事で海外に行ってて自分以外は誰も居ないからな。自分の自由に出来る。ただ、」
今度は隆志が真面目な口調で、
「お前に関して何か情報が入った時、あるいはお前を探している人等が現れたら、直ぐに出て行ってもらう。それまでの事だ。分かったな?」
隆志の言葉に、ちづるはこくりと頷き、
「はい。ありがとうございます、隆志さん。」
ほっとしたように、笑顔を浮かべた。
その笑顔に見て隆志は溜息をつきながら苦笑し、湯呑の中のお茶を一気に飲んだ。
******
その日から、隆志とちづるは共に暮らしはじめた。
彼女に関して、すぐに情報とか何か入るだろうと隆志は思っていた。
だが何日経っても、ちづるに関する情報もちづるを探している人も現れなかった。
隆志の見た所、ちづるは温厚で明るさも備えている性格で、礼儀も正しく清廉な感じの強い少女だった。
また雰囲気もどこか大人びいており、見た目とは違う年季を感じた。
不思議なことに、共に暮らしはじめてから日が経つにつれ、隆志はちづるに対して他人という違和感を感じなくなってきていた。
やがて二人は自然に生活をするようになっていた。まるで元々の家族のように。
そして暦は四月間近になり、隆志が通う御崎坂高校の新学期が迫った。
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