第7話 変化

月曜日。いつも通りの時間に家を出る。


いつも通りエレベーターで1階まで降りて、いつも通りチャリ置き場まで行く。


するとそこには珍しいことに幼馴染がいた。


こんなことは初めてだった。


ソワソワしながら何かを待っているみたいだった。


「あかり、おはよう!」


俺は挨拶をする。やっぱりまずはこれに限る。


「あ、、、ぉ、おはよう、、、。」


久しぶりに聴く、めちゃくちゃ懐かしい声。ソプラノで透き通るような優しい声。涙が出そうになる。


幼馴染に挨拶をして返ってくるという、奇跡。このビッグウェーブにのるしかねぇ。


「あかりもこれから学校だよな。前も言ったけどすごい制服にあってるぞ。」


白いセーラーが眩しいくらいに晴れていた。


「ありがと、、ぅ。」


声は小さいが、反応があることがとても嬉しい。


「俺、ずっと無視されてたからあかりに嫌われちゃってたのかと思ったよ。」


調子に乗ってこんなことを言ってしまう。


「そ、そんなこと、、ないよ。」


1回目は小声で。


「そんなことない!!」


2回目は強くはっきりと。


「わたし、ずっと照れくさくて、恥ずかしくてゆうくんとうまく話せなかったの。」


「でもこのままじゃ、いけないなって思ったの。」


「だからまず、謝らせて。」


「ずっと無視して、ごめんなさい。」


あかりは勢いよく頭を下げる。


「うん、いいよ。」


俺はかなり驚いていたし、喜びの渦に飲み込まれつつあったが、とても自然に言葉が出た。


「そもそも、俺怒ってないよ。」


顔を上げたあかりに微笑む。


するとあかりは安心したのか、綺麗な目に涙をためている。


それを見るとなんか俺も涙目になってくる。


「なんで、ゆうくんが泣きそうなの?おかしいよ。」


そう言って鈴がなるみたいにあかりは、コロコロ笑い出す。


つられて俺も笑う。


俺らの時間は再び動き出した。


そして「やばい、遅刻する」と焦って二人は別れる。


チャリを飛ばして、急いでチャリを置いて、下駄箱の愛に溢れすぎた中身を認識しないで教室に向かう。


俺が席に着くと、すぐにホームルームが始まった。


「今日は遅かったんだね。」


前の夢が小声で話しかけてくる。


「いや、ちょっと色々あって。」


誤魔化す。


すると夢の雰囲気が変わった。後ろ姿でもわかるほどに。


なんか怒ってる?機嫌悪い?


夢はそのまま黙ってしまう。


え、なに、俺は常に一人からは冷たくされないといけない病気なの?


困ったもんだ。


授業が始まる。


いつも通り夢の髪を眺めていると、夢が突然振り返って目が合う。


それにびっくりしたのか「ふぇ?」と可愛らしい声をあげてしまう。


でも覚悟は固かったようだ。それに負けじと俺の机に紙を置く。


「お昼、一緒に食べるわよ。」


そう書かれていた。説教でもされるのかな。



ちょっと怖かった。

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