命懸けの入学試験【2】

ナンパってあのナンパか?あの面識ない者に対して、公共の場で会話や遊びに誘うあの行為なのか!?


へぇ〜、初めて見た……何だか不快だ。

僕にはナンパはダメみたいだ。さっきまで、あたかも悟りを開いたかのように、晴れ渡っていた心がとても苛立っている。

……撃退するか。


「僕はローランド。趣味は花壇の手入れさ。君の名前はなんて言うんブフゥゴォォォ!!」


呑気に自己紹介なんて始め出したから、その頬をぶん殴ってやった。気分爽快。


「て、てめぇ、何しやがんだ! 」

「彼女、戸惑ってるじゃないか。ナンパなんて男の恥だぞ! やめるべきだ!」


……違う…諭したい訳じゃない。完全にあの少女の前だからカッコつけてしまっている。


「こいつ何言ってやがる! お前らやっちまえ!」


いつの間にか遠くから眺めていたチャラ男達が近づいてきていた。やはり仲間だったか。他対一はやったことないな、大丈夫かな。


敵はローランド含めて、六人。まずは全員で殴りかかってきた。

連携もクソも無い攻撃。僕は即座に体勢を低くして足を払った。無様だ、カッコ悪い。

適当に一人選んでタコ殴り。一人目、戦闘不能。

その間に五人が立ち上がる。


「相手は一人! 囲んじまえば怖くない!」


先程の失敗から学んだようで、周囲を囲まれた。

五人とも間合いを取って、警戒している。

長いようで短い時間。一人の警戒が緩んだ。

一瞬で間合いを詰め、胸部を打撃。相手は吹き飛ぶ。

しかし、僕の背後がガラ空き。間違いなく拳が飛んでくる。後ろへ向かって回し蹴り。勝利への確信に満ちたその顔に泥まみれの靴が食い込む。

左右から頭を狙った攻撃が飛んでくる。単純だ。しゃがんで回避。お互いに衝突し撃沈。

一気に四人も仕留めることが出来た。残るはリーダーのローランドだけだ。少しは期待してもいいかも。


「ま、参った! 今後、ナンパなんてしないから見逃してくれ!」

「随分と都合いい話だな。バカか?見逃してやるわけないだろ」

「ひっひいぃぃ!」


僕は至って冷静。最大限怒ったかのようにみせて、ローランドを睨みつけた。怯えて情けない声を上げる。


「と言いたいところだが、あいにく先に手を出したのはこっちなんでな。今回だけは見逃してやる」

「おお! 恩に着るぜ! 」


そう、僕は冷静なのだ。これだけやって、勘弁してやるしかないのは分かってる。決して、もっとやりたいとか、もっと痛めつけたいとか考えてるわけないじゃないか。うん、ありえない。


「ただし! 今度ナンパしてるのを見かけたら絶対に許さないからな! あわよくば、今後二度と僕の前に姿を現すな!覚悟しておけ!」

「わ、分かったよ! それじゃあな!」


僕がそう脅すと、簡単に逃げてどこかへ行ってしまった。調子の良い奴だ。

……最後の感じまた会いそう。…フラグかも。


「あ、あの大丈夫ですか??」

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