小さな少年の大きな覚悟【2】

『キシャャャァァァァ!!!!』

「うわあぁぁ! 助けてくれぇ!」


隠れていた鎌を持つ昆虫のような残滓レスタードが一人の男性に襲い掛かった。

鋭い鎌が男性の肩に突き刺さる。

深い。筋肉を引き裂き、骨にまで届いているのではないだろうか。


「うぅ・・ 痛い・・。だれかポーションを・・・」


ポーション?

聞き覚えのない言葉だが、恐らく傷を回復させたり、痛みを和らげる効果があるのではないだろうか。

そんなことはつい知らず、モンスターは無情にも男性に襲い掛かる。

素早い。先ほどよりも素早い。確実に命を刈り取ろうとしているようだ。


・・・キィィィーーーン

その間に見覚えのある男性が割って入った。

素早い鎌の攻撃を弾き、懐に侵入。そのまま残滓レスタードを仕留めた。心地のいい反撃だ。

奴らは黒い霧の集合で体を構築、倒すと霧散していた。


「俺のも使い切っちまった。ポーションが余っている者はいないか?」

「俺のを使おう!!」


その人物は、残滓レスタードを倒すと、仲間たちに声をかけた。

僕を背負った人物が近づく。

バックパックを下ろし中を見ると・・・・中には僕がいた。


「ど、どうも!」

「こ、子供!?」


父さんにしっかりと礼儀を教わっていた僕は、ちゃんと挨拶をした。

うん、僕、えらい。



「何をしているんだ!早く!」



件の見覚えのある男性が怒って近づいてきた。

・・・父さんだった。道理で見覚えのあるわけだ。


「おや? モールじゃないか! こんなところでなにをしているんだ?」

「やあ、父さん。こっちこそ聞きたいくらいだよ。そんなことより早くポーションを飲ませてあげたら?」


僕がそう伝えると、父さんは、ああ、そうだなと言って傷を負った男性の手当てを始めた。

父さんがポーションを飲ませると、みるみるうちに傷が治っていったが、瞬時ではないようだ。動けるようになるまで三分くらいかかっていた。自己治癒力を高めるくらいだろうか。


三分後、男性の治癒が終わると、僕達は昇降機近くのキャンプに場所を移すことにした。

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