メリーさんとある人形の追憶

 窓の外から陽の光が差し込んでいた。


「ねぇ起きて」


 誰かの声で目を覚ました。


「あなたいつまで寝ているつもりなの?」


 どこかで聞いたことのある懐かしい声。でも思い出せない。


「早く起きてよ。今日は一緒にあの湖までピクニックに行く予定でしょ」


 ピクニック。そうだ今日はピクニックの日だった。


「そうよ。今日はピクニックなのよ。そのためにわたし早起きしたんだから。だからあなたもいつまでも寝ていないで早く起きるべきなのよ」


 それなら起きないといけない。


 でも……。


「どうしたのかしら? ああ、そうね」


 彼女が“わたし“を抱える。


「最初からこうすればよかったのよ。ほらこれで一緒にいけるわ」


 彼女が嬉しそうに“わたし”を見つめている。彼女が嬉しそうで良かった。


「それじゃあ行きましょうか」


 彼女がお弁当の入ったバスケットと一緒に“わたし”を連れて部屋を出る。


 今日は暑くなりそうな一日だった。

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