始まりの始まり
世界改変【1】
日本時間、西暦2020年4月1日…午前9時ジャスト
その日、地球は今までに危機に直面する事になる。
この話は、そんな危機の一部のお話である。
【え~地球の皆さん、おはようございます。
私は|貴方達の言う所の神で、名前はマルマッタと言います。
それでですね…皆さんにお知らせなのですが、実は、貴方達が好き勝手やっちゃってる所為で、この星が壊れちゃいそうなんで仕方な~くですが、この星を改変しちゃう事にしました♪
ちなみに、その改変の所為で多数の死者が出ちゃうと思いますが、皆さん頑張って生き残ってくださいね?】
突如、皆の頭に直接響いた男とも女とも思える不思議な声に、普通なら疑うであろうその声は、本能的に聞いた者に対して等しく彼の声が本物と理解させた。
そして、マルマッタの言った通り、世界は改変を始めたのだった…。
〇 ● 〇 ● 〇
「
「了解ッ!」
突如頭に響いた声に皆が驚いている中、大きな地震が起きた。
そして、校庭に地割れが起きて化け物達が這い出して来たかと思ったら、急に人々を襲い始めたのだった。
そんな中、役場からの避難勧告の放送により学生達もまた、避難場所へと避難を始めた。
しかし、残念な事にその団体に化け物達が襲い掛かり、学生達は散り散りに逃げた。
彼らもまた、そんな逃げた生徒達の一人だった。
的場と呼ばれた少年は手に持った金属バットで迫り来る怪物目掛けて振りかぶる。
すると、少年の狙い通りバットは怪物の頭へと、ぶち当たる。
そう、この少年…野球部のキャプテンであり、4番バッターでもある野球バカだったりする。
『ドグシャッ!!』
豪快な音と共に少年の手に伝わる硬い物を叩き潰した鈍い感触…紛れもなく怪物の頭蓋骨を粉砕した瞬間である。
「しっかし…何だって、こんな化け物がいんだよ…何かの撮影か?」
「クックックッ…流石、野球バカ…。
現に、死人まで出てるのに撮影とか…超バカスw」
的場と呼ばれた少年の横に、いったい何処から顕れたのか分からないが、一癖も二癖もありそうな近寄りがたい少年が経っていた。
「なんだ、カゲ
「野球バカ、僕をカゲ男と呼ぶなッ!!」
どうやら、この二人の少年達は知り合いの様である。
「あん?だったら、俺を野球バカって呼ぶなよ!」
「はいはい、二人とも喧嘩はそこまでッ!
的場君も竜崎君も、今はそんな事やってる場合じゃないでしょ?」
そして、的場と呼ばれた少年と一緒に居たのが…。
「クッ…真弓さんのお陰で、命拾いしたな…。」
「ふん、それはこっちの台詞だ、竜崎!」
「あ~もうッ!!」
次の瞬間、二人の目に一人の少女が映る。
そう…この真弓と呼ばれた少女こそ、的場と一緒にいた、もう一人の生徒だった。
そんな少女の背後から近付く物に少年達が慌てて声を上げる。
「「真弓 (さん)、危ないッ!」」
何と、的場と呼ばれた少年が先程倒した怪物と同じ型の怪物が、真弓と呼ばれた少女へと攻撃を仕掛け様として居るではないか!
次の瞬間…竜崎と呼ばれた少年の姿が一瞬ブレる。
すると、怪物の後ろに顕れ、ドロップキックで的場と呼ばれた少年の方へと弾き飛ばす。
「竜崎!ナイス、アシストッ!!いっけーーーッ!」
的場は、手に持った金属バットをフルスイングで怪物の頭へと殴り付けた。
『ドグシャッ!!』
先程と寸分違わず、見事に怪物の頭を潰すフルスイング…伊達に4番バッターではないと言う事か…。
「あ、ありがとう…って言うか、ホント、二人とも息ピッタリよね…。」
「「どこがッ!?」」
「ほら?」
「「チッ!」」
明らかに、二人の表情が暗くなる。
「あはは…って、そんな事より避難しなきゃ!」
「あぁ、そうだな…さっきの放送では消防署が避難場所って話だったから、そこまで逃げれば何とか…。」
真弓の意見に賛成とばかりに、先程、避難勧告の放送で言っていた場所を再確認する的場。
だが、それに異を唱える者がいた。
「…いや、ダメだ…その前に行く場所がある。」
「えぇッ!?竜崎君、何でッ!?」
「どう言う事だ、竜崎?」
「説明は後でする…だから、二人とも、死にたくなければ黙って僕に着いて来て下さい…。」
竜崎はそれだけ言うと歩き出してしまった…。
「ま、待ってよ、竜崎君ッ!?」
「あ~ったく、竜崎のヤツ…流石に、アイツを一人にして置く訳にもいかないし…仕方がない、真弓、俺達も行こう!」
「う、うん…それにしても、的場君って、優しいんだね♪」
「そ、そんな事無い…よ。
ヤツとは…そ、そう、アレだ…腐れ縁ってヤツだ!
そんな事より、早く追い掛けないと竜崎のヤツを見失っちゃう、急ごう!」
「は、はい!」
こうして、竜崎を追い掛け始める的場と真弓…彼等の戦いは、更なる激戦へと続くのだった…。
○●○●○
「あの…ここって、私の部活部屋…だよね?」
そう…ここは、真弓が放課後、汗水垂らしつつ熱心に練習をしている弓道場である。
そこには、弓道以外にもアーチェリー部も併設してある大型の道場だったりもする。
「って、黙って着いてきたのは良いけど、ここって弓道場じゃねーか!」
「それがどうした?」
「いや、『それがどうした?』じゃね~よ!
急いで逃げるって言ってるのに、何だって、こんな場所に来てんだよ!」
「クックックッ…これだから野球バカは…。」
先程も思ったが、何故、時折、この竜崎と言う少年は、変な喋り方をするのだ?
まぁ、それは些細な事か…。
「あ、分かった!弓だッ!!」
「半分正解って所かな?正確には、此処だけじゃなく幾つか回るよ?
もちろん、武器や防具になる物を手に入れる為だけど…。
まぁ、ここでは真弓さんが使う弓や、僕が使うアーチェリーを回収だね。」
「へ~…って、竜崎、アーチェリーなんて使えるのか?」
「的場…君は、僕を何だと思ってるんだ?
と言うか、何故、僕に使えないと思ったんだ?」
「だって…なぁ?」
そう言って、的場は真弓を見る。
しかし…真弓は…。
「な、何の事かな~?」
そう言って、そっと目を逸らした…。
「フッ…まぁ、良いさ…。
とりあえず、真弓さんは念の為、弓道で使う防具も着てくれ。
あと的場、彼女の護衛を…襲うなよ?」
「誰が、襲うかッ!!」
「的場君…そんなに全力で否定しなくても…わ、私って、そんなに魅力無いのかな?無いのかな?」
的場に全力否定されて落ち込む真弓…そんな二人を見て、竜崎は一言言った。
「夫婦喧嘩は後でしてくれ。」
「まだ夫婦じゃないッ!」
それを聞いた真弓は、顔を赤く染め呟く…。
「そっか、『まだ』…なんだ…。
うん、元気出てきたッ!!」
「え?え?えッ?」
野球バカだけあって、自分の言った台詞を理解してない的場…。
そんな的場と真弓を置いて、竜崎は自分の武器を取りに行くのだった…。
○●○●○
「次は家庭科室だ。」
竜崎は自分が使う武器として、アーチェリーと取ってきた後、次の目的地を言う。
「何だ?何か作るのか?」
「的場君…私…流石に、授業がないのに食材は無いと思うんだ…。」
「そうだね、真弓さんの言う通り食材はないだろうね…。
いや、そうじゃなくて…だ、野球バカには食材じゃなく、道具を取りに来たって発想はないのか?」
「道具?」
「包丁やら串…他にも先端が尖った物だ。
極端な話、フォークやナイフでも立派な武器になる…。」
「そ、そうなのか…それにしても、竜崎…よくそんな事を思い付くな…。」
「フッ…こんな事は、サバイバルの基本だ…むしろ、逆に、何故、知らんのかと聞きたい。」
「竜崎君…ゴメン…私も知らない…。」
「あ、いや…真弓さんは知らなくても良いと思うよ…女の子だし、うん…。」
慌ててフォローをしようとする竜崎…。
だが…二人は頭の中で、同じ事を考えた。
(あ、カゲ男のヤツ、ヒヨったか?)
(もしかして、竜崎君…日和ったのかな?)
「あ~…その~…と、とりあえず、家庭科室にいくず!」
((あ、噛んだ…。))
二人の少年少女に温かい目で見守られる竜崎…しかし、彼は恥ずかしさのあまり下を向いていた為、その視線に気が付く事はなかったのだった…。
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