#14
天文学レベルに運が良いことが自身も気付かぬ長所である普通の高校生の
運良く自身の記憶を残したまま影のような姿に変わった
では、物語の続きを語らせていただきましょう。
「運が良かったな」
西洋風の鎧武者は
「運が良かった? そんな訳が無いだろう! こんな姿にされて」
「そのうち慣れる。嫌でも」
西洋風の鎧武者は
「我々の……いや、俺の目的は達成した。本当は別の地球でも同じ実験を行うつもりだったのだが運が良かった」
「運が良い訳無いだろ。お前のせいで俺は、俺たちは……」
「自分の星を勝手に侵略され、自分たちまで実験動物にされたら怒るのも当然だ。逆の立場だった時に俺も同じことを思っていた」
その場に座り込みしみじみとそう語る西洋風の鎧武者を
「もしかして、あんたは」
「お前の想像通り、俺は今のお前と同じようにイーヴィルによってシャドー化させられた元人間だ。闇に順応したせいでこんな巨体になってしまったが……」
「俺もいつかそんな風に」
「なるだろうな。聞いた話では、俺やお前の様に人間の記憶を維持したままシャドー化した奴らが闇に順応すると俺みたいな巨体の鎧武者に姿を変えシャドーイーヴィルと呼ばれるらしい」
西洋風の鎧武者は聞いた話を得意げに
「俺も……」
「俺と同じなら一ヶ月もしないうちに闇に順応して俺のような姿になるだろうな」
「さっきから気になっていたが、どうしてそんなに嬉しそうにしているんだ?」
「俺をシャドー化させた奴は俺がシャドーイーヴィルだと気付かず俺をイーヴィルに引き渡した。それからしばらくは言葉をしゃべることが出来ないただのシャドーと長い時間を過ごすことになった。それから何十年という時が経って俺はようやく単独で部隊を動かせるまでになった。でも俺の周りに居るのはただのシャドーだけだった。そんな時に俺の部隊にシャドー化実験を行う指令が下りこの地球にやって来た。そして、お前に出会った。ようやく同じ境遇の奴に遭えたんだ、嬉しくない訳が無いだろう?」
「そう、だったのか」
「たった一人でも本当の仲間が出来た。お前がどう思っているかは別だが」
「人間を実験動物にするなんて指令を出すイーヴィルには心底腹が立つ……でも、俺はあんたの仲間にはなりたいそう思っている」
「流石、俺だな」
「えっ?」
西洋風の鎧武者のその言葉に
「まだ自己紹介をしていなかったな。俺の名前はソラ。人間の時の名前は木場ソラだ。よろしく」
「俺も木場ソラです」
***
二人の木場ソラが出会ってから数ヶ月が経ち、イーヴィルの各部隊には風の噂程度にある部隊の話題が流れていました。
それは西洋風の鎧武者と和風の鎧武者の二人のシャドーイーヴィルが指揮を執る『
運良く出会った二人の
語り手 古本屋栞
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