第1256話 脱出するのに必要なもの
へ? 甘いもの??
そりゃアイスとかスイーツはスイーツは大好きだけど...
『でも、甘いものがなんで今必要なんだ?』
『陛下の脱出もそうですが、テイムするとなると、物理的に屈服させる、もしくは何かに依存させる、という方法があるかと思います。今までは暴力によって前者を達成することができていましたが、それが封じられているため、後者を選ぶしかなく、その中で最もハードルが低いものが糖分、だというわけです』
凄い、この短時間でよくもまあそんなことを思いつけるな。俺なんて、何とななる、程度にしか考えていなかったのに。
『方針は分かった。ただ、仮にスキルで砂糖を生み出すことは可能でも、そのスキルの効果がティラノに、恐竜に効くのか?』
『恐らくにはなってしまいますが、効果はあるかと思われます。恐竜たちにスキルは効かないものの、スキルの結果起きた事象や現象に対しては効果あると思われます。その根拠として、私が姿を消している間、未だに捕まえられていません。ですので、甘いものを生成し、それを食べさせることで、ティラノサウルスのドーパミンを刺激させちゃいましょう!』
ドーパミンが何かは分からないが、とにかく分かった。
ただ、問題は砂糖をどうやって作るかだな。ゼロから作り出すか、それとも現世のものを持ってくるか? いや、次元が隔離されてて持ってこれないとかあるかもしれない。おとなしく、砂糖を作る方法を作ろう。
「【仙術】」
えーっと、まずは砂糖を作るためのスキルを作るところだな。でも、折角なら砂糖以外の物質を生成できるようにしよう。
条件を色々設定して、っと。あ、流石に無から生成するのは厳しそうだな。じゃ、こうして、
『メガネくん、砂糖の化学式? を教えてくれ!』
『砂糖、ですか? えーっとショ糖の化学式はC12H22O11です! Cは炭素、Hは水素、Oは酸素です!』
あ、俺を元素記号が分からない奴だと思ってるな。正解だ。いや、流石にこの3つくらいは分かってたぞ?? 多分。
スキルを発動すると、俺の手のひらに少しずつ白い粉が生成されてきた。
これだけ見ると、まるで何も無いところから発生しているように見えるがそうではなく、周りにある物質から必要な元素のみを分解し、再結合しているという訳だ。
つまり、この砂糖の原料は、ティラノの胃の中消化途中の食べ物という訳か、、、
いや、元素レベルで分解してるんだ。きっと、もはや別物だろう。それに、これを摂取するのはまたしてもティラノくんだ。
『よし、砂糖できたぞ! これをどうすればいいんだ?!?』
『はい、ではティラノの口内に、舌の上にぶち込んでください!』
へ?
『え、でも俺が今いるとこ、胃の中なんだけど?』
『じゃあ気合で食道登っていただいてもよろしいでしょうか?』
へへっ?
『あのー食道ってほら崖肌と違ってヌメヌメしてそうなんですけど...』
『陛下なら大丈夫です! 気合でお願いしますっ!!』
声の向こうに飛び切り笑顔の、でもメガネの奥は笑っていないメガネくんの顔が浮かんできた。
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無事大散財をしてしまった作者。
ここにきて、節約倹約を誓う。
次回作、お金を使い果たしてしまった男の、倹約譚。始まる!!(始まりません
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