第1253話 白の掟


「よし、まずは状況整理からだ」


 俺らは焚火をかこんで向かい合っていた。


 どうやらこの世界では火が近くにあると恐竜は寄ってこないみたいだ。いわば、簡易セーフティーゾーンだな。ただ、だからと言って松明を持ち歩いてみても効果は無かった。火の大きさが足りないのか、それともシステム的なものなのか、とにかく、焚火をすることが重要らしい。


「じゃあメガネくん、先ほど言ったスキルが効かない、ってことについて教えてくれ。何かしらの確証の基にそう言ったんだろう?」


「はい。最初に違和感を覚えたのは、ケツァルコアトルとの戦闘時です。陛下のスキルを食らっても傷一つ無いどころか、何も食らっていないかのような反応をしており、非常に気になりました」


 確かに、それは俺も気になったな。ただ、あの時はそのまま突っ込まれて墜落したから、そんなことを気にする余裕も無かった。


「そして、その違和感が確信に変わったのはつい先ほどのことです。陛下もご存じの通り、私はアロサウルスに襲われていたのですが、もちろん私も何の反撃もしなかったわけではありません。敵を混乱や恐怖の状態異常にするスキルなどを使いましたが、全くの効果が無く、私の数少ない攻撃スキルも何一つ効きませんでした」


 ふむ、攻撃スキルだけではなく、デバフスキルも使えなかった、というわけか。それはかなり厄介だな。攻撃だけが食らわない、とかだけならまだやりようはあると思っていたんだがな。


「そのため、私には逃げるという選択肢しか取ることができず、全力で走るのみでした。結果はご存知の通り、AGIにはほとんど振っていなかったため、一瞬で追いつかれてしまいました。大変申し訳ございません」


「いや、別に謝ることじゃないぞ、気にするな。ただ、それにしては俺が合流するまで、よく耐えた、と思っていたんだが、必死に逃げた成果か?」


「あ、それはですね。恐らく私のスキルの中で唯一効果があったスキルのおかげですね。最初に使用した透明化のスキルになります。ただ、隠せるのは姿だけですので、少しずつ遠ざかろうとした時に音が発生してしまいそこからは再びアロサウルスとの鬼ごこっこが始まってしまった訳ですが...」


「なるほど、ということは恐竜側に作用するスキルは無効化され、俺たち側に作用するスキルならば効果はある、ってことなのか?」


「恐らくそうだと思われます。私も同じ考えです。先ほど、焚火のため火をつける際も、陛下のスキルは問題なく使用できたため、恐竜に対してのみスキルの使用が不可と考えるのが妥当でしょう」


 ふむ、この世界に対しては問題なくスキルを使うことができる、ってわけだな、なるほどなるほど。


「ん、ってことは恐竜を倒すためには、素手で殴らないといけない、ってことか?」


「そ、そうですね。一応裏技としては自身に限界までバフをかけて物理的に殴る、という可能性も考えられますが、恐竜を殴る瞬間に全てのバフが無効化される可能性も考えられるため、検証が必要かと思われます」


 ん-、これは一筋縄ではいかなさそうだな...


俺が頭を抱えようとしたところ、ふと隣を見ると、ハーゲンが連れてきたドードーが小さな虫をクチバシでつついて今まさに、食べようとしていた。


 ん、待てよ。もしかしたらこの世界、俺らが恐竜を倒すようには作られていないんじゃないか?


 もし、そうだとしたら...


 もう一度ドードーを見てみる。


<Lv.3 ドードー*>


 そこには先ほどにはなかった表記が存在した。









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US配列のキーボードを購入して、その設定に時間をめちゃ費やしてしまいました。

でも、絶対に使いこなしてみせるっ!!

皆さんは最近購入してよかったものとかありますか??

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