第1250話 リスキリング
「ん、ここは?」
目を開けるとそこには雲一つない空が広がっていた。当たりを見渡すと目の前には海、そして周りにはゴツゴツと大きな岩があり、海岸から少し離れると木々が生い茂っている。
一目見ただけでここが日本、どころか現代のどこでもなく白亜紀の恐竜がいたい時代だと感じさせられる。ってか、どうやって再現してるんだろうか。流石に、ゲーム開発側も想像でってことなのかな?
止めよ、そんなこと考えて自分から醒めにいくのは違う。あれ、そういえばメガネくんは?
「ぐるぁああああああああああああああ!!!!!!」
え、普通に目の前にティラノいるんだけど。咆哮の音圧ヤバい普通に耳割れる。ってか何だこの圧。生命体としての格の違いを見せつけられてる。体が、本能が負けを認めてしまっている。
不味い不味い不味い、体が完全に竦んじゃてる。
動けない。
立とうとしても、手に腕に足に力が入らないのだ。どうしよ、食べられたら物理攻撃も酸も無効にして一生胃の中で暮らすのかな? ってか変に頭だけ回るな。ヤバい、どうしよ近づいてきた。いよいよ食われ...
「【インビジブルマント】!」
「え?」
『喋らないでください。これは姿を隠すだけで存在は消せませんから、食べられたら普通に食べられます」
ふぅ、メガネくんか。助かったぜ。俺もちょっとパニックになってた。あまりにも異世界過ぎて脳が混乱したんだろうな。見知ったメガネくんの顔を見て幾分か落ち着いてきた。
ティラノもティラノで目の前から獲物が消えたことに対して驚いている。ただ、流石に顔を近づけたりして、所在を確かめようとしている。
ってか、近いデカい。本当に目と鼻の先まで来てるって。迫力満点過ぎるだろ。
『ん、念話で喋るってことか。メガネくんこれって臭いとか大丈夫なのか?』
声がダメなら臭いもダメな気がするんだが...
「確かに」
「「あ」」
今、目が合ってる。俺らは透明になってるはずなのに、完全に目が合っちゃってる。
『へ、陛下。ごめんなさい私の力不足なばかりに...』
いや、大丈夫だ。ってか、俺が不甲斐なさすぎる。ってか冷静に考えたら俺もスキルを使えばいいだけの話じゃないか?
『メガネくん、しっかり捕まっててくれ。【時間歩行】』
俺は垂直方向に時間を1秒ほど進め、思いっきりジャンプした。
そういえば、神の系譜になったハーゲンも呼び出せるんだったな。
「ハーゲーーーン!」
召喚したハーゲンの足につかまり、俺はティラノにつかまり眼下に広がる世界を眺めた。
そこには現実世界には見たことも無い、植物と恐竜が作りだす世界が広がっていた。
荒々しくて、野性的で、でもどこか神秘的な世界に、俺は少しの間見惚れてしまっていた。
「う、うぅ...気持ち悪い」
あ、ごめんメガネくん。右手でハーゲンの足を掴んでたから、左手でプランプランしちゃってた。ずっとバンジーの終わり掛けみたいな感じになっちゃってたな。
すまん。
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