第1248話 眼鏡の奥


「でも陛下、ダンジョンを作ったとしてプレイヤーの誰一人として勝てないんじゃないんですか?」


 場所を移動してダンジョンを作成しようとして、メガネくんに言われたその一言で全てが頓挫した。


「確かに」


 従魔対街でも勝てなかったのに、プレイヤー単位で勝てるとは思えない。そりゃ多少はレイドなりなんなりを組んでそれなりに準備するとまた違うのかもしれないが、それでもウチの従魔が優勢だろう。


 ん-、ダンジョンを作るならどうにかしてハンデを付けないといけないってことかー。俺が隣でバフを掛け続ける訳にも行かないからな~。


 重りを付けさせても、不利なフィールドを用意しても、感覚を奪ったとしても負ける気がしないんだよなー。感覚を奪ったら流石に厳しいか? でもそれくらいのレベル差があると踏んでいる。


 もういっそのこと、難航不落のダンジョンとして君臨させるか?


 でもそれだと魔王城とコンセプト被っちゃうよなー。ダンジョンがクリアできないのに魔王城をクリアできる訳がない、ってプレイヤーたちに思わせてしまう。


 ん、ってことは、魔王城をクリアできるかも、って思わせれば良いってことだよな?


「つまり、逆だ」


「逆??」


 メガネくんの目が点になってる。ってか、こんな目してたんだな。今までメガネに気を取られてて全然気づかなかった。


「あぁ、逆だ。モンスターを弱くするんじゃなくて、プレイヤーを強くするんだ」


 もはや、従魔たちが負けたっていい。負けた先に得られるものだってきっとあるはずだ。


「なるほど! そういうことですね! じゃあちょっと作業してきます!」


 そういってメガネくんはダッシュでどこかへ行ってしまった。


 ってか、相変わらず物分かりが良すぎるだろ。普通、ぷ、プレイヤーを強くするー!? ってなるとこじゃないのか? まあ、メガネくんの頭の良さには散々助かっているから文句ですらないんだけど。


 そして、30分後、


「できました!! まだ仮の段階ですが、コンセプトは伝わるかと思います!」


 は??


「ダンジョンに挑戦したプレイヤーはこちらから武器を選択できます。陛下の武器には及びませんが多くのプレイヤーがそのまま持って帰ってしまいたくなるほどの武器をこちらに用意しております」


 は、はぁ。


「そして、もちろんそれだけではありませんよ? このダンジョンの設定によりプレイヤーたちはステータスバフを受けることができます! 全ステータスが3割ほど上昇した状態で、従魔様たちと戦っていただきますっ!」


 ......ちょっとやりすぎじゃね?


 いや確かに負けてもいいとは思ったけど、そこまでする? 武器も俺の武器には及ばないとかいってたけど、俺最近は新調してないから普通に俺も持って帰りたいんだけど。


 いや、でももしかしたらこれは物凄くアリかもしれない。


 プレイヤーたちは、このレベルまでくれば従魔を倒せるってことが分かるし、従魔サイドとしてはこのレベルに負けては魔王軍あらずと思って死ぬ気で強くなってくれるだろうし、winwinじゃん。流石はメガネくんだな。


「なぁ、これって俺も参加してもいいものか?」


「ダメです。陛下のステータス三割増しとか、星が幾つあっても足りません」


 有能過ぎる部下って、先輩にもしっかり厳しいんだな。







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ん、どこか調子がでてきていないですか?更新頻度上がってません?

この調子だ~

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