第1241話 夜明けの燃焼

「うぁー! 綺麗ーーーー!」


 思わずため息が出そうなほど、美しいこの世界に、僕はただただ圧倒された。


 もはや現実じゃん、って思ったけど、現実よりもよっぽど美しい。世界が輝いて見える。こんな場所、世界のどこを探したって見つからないだろう。


 え、お前は今どこにいるかって? そんな綺麗な場所なら俺も見てみたいって?


 残念、僕はたった今この世界にログインしたばかりのニュービーだ。


 しかも、初めてのVRゲームなのだ!


 今まで勉強やアルバイトでゲームを買うお金も、プレイする時間も無かったから嬉しすぎるっ!!


 色んなプレイ動画や紹介ゲームを見てきたが、その中でも一番プレイしてみたかったのがこのNSOだった。圧倒的自由度とグラフィックの美麗さ、そしてなによりスキルがほぼ無限っていうのが素晴らしい!


 発売してから3,4年くらいが経過しても、そこそこプレイ人口がいるということが、僕の審美眼が正しかったということを証明している。まあ、一時期の盛況っぷりには劣るかもだけど...


 まあ、ソロプレイもできるし何の問題もない! というか、コミュ障だからマルチプレイとか逆に無理すぎる。


 さて、どんな構成にしようかなー。自分だけのステータス、スキル構成を目指さないとね!


 目指せ最強!!


 どうやら、この世界の魔王はまだ一度も倒されていないらしい。じゃあ、僕が倒さないといけないでしょう


 という訳で、打倒魔王!!


 そんな気持ちを胸に、僕は始まりの森へ向かった。


 べちゃっ


 いや、正確には向かおうと思った僕の後ろに何か、が落ちてきたような音がした。なんだが、粘性が高そうな音だったが、なんだろう? スライムかな?


 びちゃっ


 あ、少し離れたところにも落ちた。なんだろう? 第一の街の、しかもこの広場で何かイベントがあるんだろうか? でも、そんな告知何もしていなかったような?


 それからも何かが散乱する音は鳴り続けた。


 流石に気になるので、一旦最強になることを中断し、振り返り、最初の音がした場所に向かうと、そこには少し紫がかった、ドス黒いヘドロのようなものが落ちていた。ただ、ヘドロのような見た目なのに、そこまで臭いがしない。化学的な臭い鼻の奥を刺激する程度だ。


 って、逆にそれ、不味いのでは? 生ごみとかの臭いなんかよりよっぽど危険なのでは?


 グルォオオオオオオオオ!!


 遠くの方から咆哮が聞こえてきた。え、こんな音始まりの街で聞いていいんでしょうか? 絶対ダメだよね? ってか始まりの森が燃えてるし、どゆこと??


 ログインして早々、意味の分からない現実に、もはや何が何だか分からなくなってしまった。


 降り注ぐ謎の危険な物体、方々から上がる火の手、そして眼前にはドラゴン。


「え、ドラゴン??」


 それは一瞬にして僕の目の前に現れ、そして全てを炎で包み込んだ。


 熱いと思う間もなく、HPが削られ、


 ッドーン!


 吹き飛ばされた。どうやら落ちてきたヘドロは引火すると爆発する物体のようだった。


 ......あれ? こんなことどんなプレイ動画でも、紹介動画にも載って無かったんだけど?








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絶望の月曜日から火曜日の皆様にお届けします。


仕事全然終わってないのに執筆しちゃったぜ♪


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