第1239話 制裁を加えらるべき対象


 厳粛な会議の結果、人類に制裁を加えることとなった。


「……」


 というのも、俺が卒論だの就活だのに気を取られている間にメガネくん含めたプレイヤーサイドが盛り上がってしまい、俺が気づいた時にはもう引っ込みがつかない状態にまでなっていたのだ。


「制裁、か。かなり重大な決定だな」


「はい。ですが、このくらいしなければ、彼らを付け上がらせることになってしまいます!」


「そ、そうです! 魔物プレイヤーたちもかなり肩身の狭い状況になっていますし……」


 とゴブリンのプレイヤーがメガネくんに同調した。確かに、魔王軍の人間プレイヤーが監獄送りにされてるのなら、魔物として狩られやすい魔物プレイヤーはもっと酷い状況にあるのだろうな。


「分かった。制裁を加えよう。ただ、NPCに対してはどうする? 人類に制裁を加えるとなると、どうしても影響無しにとはいかないんじゃないか?」


「ふむ、確かにそうですね。陛下はNPCの命を安易と奪いたくはない、ということですよね?」


「あぁ、そうだな。俺たちと違って死んでも生き返らないしな。俺だって、現実世界じゃ死にたくもないし、誰かを殺したくもない」


「なるほど、それもそうですね。ですが、そうなると人類に制裁を加えるというのが現実的に難しくなりますね……」


 そこで、会議に初めての静寂が訪れた。


 メガネくんとしても積極的にNPCを殺したい、というわけではないようだ。だが、人類プレイヤーに反撃するには、多少の犠牲も仕方がない、という考えなのだろうな。まあ、メガネくんの気持ちも正直分かる。


 そもそも、俺はなんでここまでNPCを殺すことに忌避感があるのだろうか。


 現実世界で人を殺したくない、と同じようにこの世界でもNPCを殺したくないのだが、少数派なのだろうか? んー、分からない。


「NPCに攻撃を加えないとなると、プレイヤーをどこかに呼び出して戦うか、あるいはNPCをどこかに隔離して街で戦うか、の二択になるでしょうか? どちらのパターンにおいても制裁、という印象からは離れてしまう気がします」


 とメガネくんが発言し、


「それに実際問題として、プレイヤーを誘い出すのは何人かはノコノコやってきたとしても、人類全員をよびだすのは不可能でしょうし、NPCを全員隔離するのはより非現実に思われます」


 と、司祭のプレイヤーが言った。あれ、今は大司教だっけか? それにしてもメガネくんだけじゃなくてお前もちゃんと賢いんだな。ただの俺のわがままについて真剣に考えてくれている。ゴブリンのプレイヤーも必死に頭を悩ませてくれている。


 なんて良い仲間を持ったんだろうな俺は。会議そっちのけで卒論とか就職のこととか考えてて何かもうしわけなくなってきたな。


 ただ、実際問題、人類に制裁を加えることと、NPCを一人も殺さない、というのを両立させるのはかなり難しい。人類という括りの中にどうしてもNPCが含まれてしまうからなー。だからこそ、それらを分離させようとしても厳しいし、非現実的な方法となる。


 その場の全員が沈黙の中、それぞれが何か方法はないかと模索している中、それを打開してくれたのはやはりメガネくんだった。


「そうだ、奇跡があるじゃないですか! 非現実的な方法でももしかしたら、あるいは……?」


 なるほど、それならある程度取れる手段も増えてくるのか。司教とゴブリンの二人は頭に「?」を浮かべているが、これは神様になったメガネくんならではの視点だな。


「ん、ってことはプレイヤーとNPCを分離する必要もなくなるのか」


 そう俺が呟くと、その場にあった全部の目玉がこちらに向いた。








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お久しぶりです。

みなさまお元気でしょうか?私はぼちぼちです

最近ハマってることありますか?私はなんだろ?家でゴロゴロするのが幸せです()

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