第1235話 リムの外

まだまだメガネくん視点です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 逆転の発想、つまり沢山捕まえられているというのなら、逆にそれを活かしてそこに集合してやればいいのだ。


 現実世界がどうかは知らないが、ファンタジー世界において、牢獄というのは大体が地下にある。何故ならその方が脱走の危険性が少なくなるからだ。後、その方がより捕まえられている感が演出されるからかな? 


 だが、地下というのは盲点もある。だって、穴を掘ることさえできちゃえば無限に通り道が作れちゃうんだから。


 ということで、今から王都の地下牢獄拠点化計画を始動します! 


 ちょうど、魔王城が爆散させられて、魔王軍の集合場所となる拠点が無かったからこれを機に作っちゃおうというわけだ。人類サイドもまさか牢獄に魔王軍の拠点があるとは思わないだろう。


 沢山魔王軍を捕まえていると思っている所を、逆にしっかり準備を行い、反撃する。うん、我ながら良いアイデアだ。


 ただ、もちろん今すぐ簡単にできるというものではない。いくつか気をつけないといけないことがある。


 一つ目は座標の確認だ。地下というのは見晴らしが悪い、どころか無い。だから現在地と目的地を常に明確にしておかなければすぐに迷ってしまい、無駄な穴掘りを続けてしまうこととなる。


 二つ目は人員の確保だ。流石に僕一人で穴を掘るというのは現実的じゃない。信頼できるメンバーを集め、速やかに遂行する必要がある。


 三つ目は看守の対処だ。牢屋の周りをガシガシ掘ればバレない訳がない。通報された暁には完全に計画が台無しになってしまう。だからと言って手に掛けてしまうのは論外だ。事件として取り扱われてしまうし、警備も増えちゃうだろう。なるべく秘密裏にことを進めたい。


 一先ずはこの三つだろうか。座標の確認は現在捕まっているメンバーと、穴掘りをするメンバーの連携をきちんと行えば問題はないはず、となると最初に取り掛かるべきは……


「穴掘りメンバーの選定、か」


 正直言って、これが一番の難関だろうなー。


 穴掘りなんてただの労働を例え魔王軍の為とは言え、やりたい人なんてそうそういないだろう。しかも、ただ逃走経路を作るだけじゃなく、拠点としてそれなりに形にするとなれば尚更大変だ。


 どうやって集めようか……どりあえず募集だけ掛けて様子見てみるか。最悪報酬を出してやってもらうしかないから、お金だったりアイテムだったり、良い感じのを用意しておかないとな。


 よし、とりあえず魔王軍しか使えない掲示板に募集要項を載せてっと。その間に報酬の準備でもしときますか。


 ❇︎


「え!?」


 なんで!? めっちゃ募集きてるじゃん! 三十人以上いるよ???


 魔王軍で穴掘りが得意な方募集ってめっちゃ簡素な募集だったのにこの短時間でこんなに集まるとは思ってなかった。もしかして報酬が物凄く良いものだと思ってるのかな? 集まっても数人だろうと思ってたから、人数分となると流石に足りないんだけど。


 仕方ない、こうなったら使ってない装備とか素材を一旦売って、それを前金に当てよう。そして作業を進めていく中で、作業量に応じて、報酬に何が欲しいのかを聞いてみよう。僕が勝手に用意した報酬が要らないものだったら勿体ないしね。


 あ、そうだ。穴を掘る為の道具とか、実際の座標とか、人が集まったんなら準備できることはしとかないといけないじゃん。意外とやることが多いな。


 そんなこんなで一日が経ち、応募してくれたメンバーに集まってもらった。


 どんな屈強なメンバーたちなのだろう、と身構えていると、そこに来たのは一見普通のプレイヤーにしか見えない人たちばかりだった。だけど、


「え、皆さん掘削道具を持っていらっしゃるんですか!?」


なんと、応募者全員穴掘りの準備が完璧だったのだ。ど、どゆこと!?











━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

予約投稿せずにだらだら夕飯を食べてたら忘れてました。

まだセーフかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る