第1233話 怖い色
「よし、」
これで少しは普通の冒険者っぽく見えるかな?
囮捜査を行うに当たって、いくつかの対照実験を行おうと思う。
幸い、僕は分身を使えるから一度に幾つもの囮を生み出すことができる。しかも、時間帯も一緒にできるから、かなり効率は上がるだろう。
一人目は普通の冒険者だ。魔王軍との繋がりはぱっと見じゃ全く分からない見た目になっている。
そしてこれを基準に信者っぽい格好、魔物プレイヤーっぽい格好の人を生み出した。
同時に操れるのは現段階だと二人までなので、とりあえずこれで行く。二人とももちろん顔は違う。だから、両方を同時に見られても問題はない。流石に、隣に並んで歩かせはしないけどね。
僕自身は王都の宿の一部屋を借り、そこから分身を操る。魔王城があればこんなことしなくて良いんだけど……
そうだ、せっかく陛下がログインしていらっしゃらないのなら、陛下が帰ってくる前に魔王城を再建させよう。そうすればきっと喜んでくれるはずだ。
❇︎
囮を放ってから二時間以上が経過した。だが、何の成果も得られなかった。流石に、魔王軍っぽいプレイヤーを手当たり次第に牢獄に入れている、訳ではなさそうだ。流石にそれだと魔王軍以外のプレイヤーを入れちゃった時に大問題だもんな。
だけどここからどうしよう。魔王軍に協力してもらっても良いんだろうけど、実際に牢獄に入れられるというリスクがあまりにもデカすぎる。だからこそ分身によるノーリスク囮捜査だったのに……
コンコン
僕がそう悩んでいると、不意にドアからノックの音が聞こえた。
現実世界で荷物が届いた時のように反射的に「はーい」と声を出そうとした瞬間、僕はある違和感に気がついた。
そもそもここは現実世界でもなければ、荷物も頼んでない。ルームサービスとかもお願いした覚えはないから、この訪問客は明らかにイレギュラーな存在だ。
もしかして、魔王軍を牢獄にぶち込んでいる件のプレイヤーが直接乗り込んできた? もしそうだとしてどうやってこの場所が分かったんだ?
とりあえず、扉の向こうにいるのが誰であっても居留守という選択肢は一番良くない気がする。今は多少のリスクを背負ってでも情報が欲しい段階だ。ならば……
『トパーズさん、少し質問いいですか? えーっと・・・』
コンコン
二度目のノックだ。ただ、これで大丈夫なはず。声色を不自然じゃない範囲で少し低くして、
「はーい」
ドアを開けると、そこに立っていたのは、ローブを纏った長身のプレイヤーだった。
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本当はもう少し1話あたりの文字数を増やしたい、、
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