第1232話 メガネの家臣
「陛下! ご報告があります!」
バンッと僕が扉を開けた先に待っていたのは、ただ静寂だった。どうやら陛下はログインしていないらしい。というかここ最近ずっとだ。
以前、ユグドラシルでこちら側にいなかったことはあったけど、そもそもログインしていない、それも長期間というのは珍しい気がする。
もちろん陛下も人間だから四六時中ログインできるわけじゃないんだろうけど……
一旦、報告しようと思っていたことを整理しよう。
今回発生した事件は、魔王軍側のプレイヤー、具体的には魔物プレイヤーや陛下の信者たちが牢獄に入れられてしまった、というものだ。
そもそも、牢獄とはプレイヤーキルをしまくったプレイヤーなどが死亡した時に一時的に勾留させておく場所だ。そこに魔王軍プレイヤーが監禁されているという。しかも、かなり長い期間、複数のプレイヤーが、だ。
僕の能力で分身、透明化して話を聞いてみると、どのプレイヤーも特に悪いことをした覚えはないそうだ。ただ、牢獄に入れられる前にあるプレイヤーに出会ったという。ただ、全員口を揃えて言っていたのが、顔は隠されておりよく見えず、背は高かった、と。
今の所、証言はこのくらいしか無い。ただ、皆の意見が妙に一致している、のは少し不可解ではある。こういうのって大体少しくらいはばらけるものだろうに。皆、バラバラである方がまだ納得がいく。
そしてこの状況に加え、陛下もいない。となるとこれは頑張って僕だけで解決しなければならない。
魔王軍につけば、牢獄に入れられてしまう、なんて噂が広がるだけでも損失につながる。戦力はあればあるだけ良いし、魔王軍が多ければ多いほど、信仰ポイントが稼げる。未来の魔王軍の芽を摘んでしまうのは避けたい。
さて、どうしたものか。
陛下がいない不幸中の幸いとして、陛下と同期した専属支援型霊体知能、「トパーズ」が僕も使えるということだ。これを上手く使えば良い感じに立ち回れるかもしれない。
ただ、まだ僕自身は信仰ポイントが貯まっている訳じゃないから、貯めながら本当に必要な瞬間を見分けないといけない。
ただ、証言が少ないのも事実だ。と、なってくると……
「よし、先ずは囮捜査だな」
どうやって魔王軍だと判別しているのか、必ず現れるというプレイヤーの特徴は本当に正しいのか、そして最も気になることである、牢獄に入れさせる方法とは、いろいろ実際に体験してみることで分かることがあるかもしれない。
それっぽい冒険者、いや魔王軍っぽい格好をして、っと。
まずは一番人が多そうな王都へ出発だ。釣れると良いけどなー。
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二日連続!
メガネくんは多分ミステリー小説とか好きで沢山読んでると思います!
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