第1221話 非常にラッキー


『では、戦争を無くすにはどうしたら良いと思うか?』


「俺が俺以外を全員ぶっ飛ばす」


『では、貧困を無くすにはどうするのじゃ?』


「そりゃ、偉くて金持ってる奴をぶっ飛ばせばいいだろ。特に悪いことして金稼いでる奴とか」


『……では、友が誤って人を殺してしまった。お主ならどうする?』


「一旦、被害者を蘇生させて両方の言い分を聞く。その上でぶっ飛ばしたい奴をぶっ飛ばす」


『…………では、皆でお菓子を食べている時に一つ残ったらどうするのじゃ?』


「その事実に誰も気が付かないくらいの速さで俺が食べる」


 俺は今、哲学の神と問答を繰り広げていた。これが対話、というものなのだろうか。確かになんだか深まっている感じがする……!


『はぁ、もうよいでは1に1を加えるとどうなる?』


 ん? 1に1を加える? 1足す1ってことか? でもこれは古来から様々な答え方があるとされている。王道の2から田んぼの田、そこから更に派生して無限の解答方法がある。くそ、これはどれが正解なんだ? 今までとは丸っ切り系統が違うぞ?


『ふむ、何故この問題で思案するのじゃ? さっさと答えるのじゃ』


 いやー怪しい。こうやって急かしてきているのとかも怪しさしかない。そうやって急かして普通の答えを引き出したところで、本当は別解でしたーとか全然あり得るからな。


 と、見せかけて王道か……? ここはもう腹を括るしかない!


「2だっ!!」


『ん、正解じゃ。だからもう帰って良い』


「へ?」


 どゆこと? 正解なのに帰っていいの?


『本来ならば議論を深め儂が満足するまで行うのじゃが、貴様では力不足のようじゃ。まさか会話すらできないレベルとは思わなんだぞ』


 え、会話できない? 今まで俺たちは会話してたんじゃなかったのか??


『そして、儂を満足できない者には罰が下されるのだが、それすらも貴様には相応しくないように思う』


 お、つまりは罰免除ってことか! 非常にラッキーだな。


「え、じゃあもう帰っていいのか?」


『そうじゃ。さっさと帰らんか』


 ふむ、速攻で終わっちゃったな。どうやら俺はこの世界と相性が良かったようだ。帰っていいと言われてるんだからさっさと帰っちゃおう。


「さようならー」


 ❇︎


「おや、もうお帰りになられたのですか? 私の想定よりも随分早かったですね」


 俺がエントランスに戻ると、案内人からそう驚かれた。


「哲学の神は自ら難問をふっかけ、それに対しての答えの揚げ足を取り続けるという、いわば性格の悪い神様だったのですが……それをこうも早く倒されるとは流石でございます」


 いや、流石でございます、じゃなくてそこまで分かってんなら最初から教えろよ。まあ、俺は無事揚げ足を取られることなく終えられたってことか。うん、改めてラッキーだな。


「さて、次の世界ですが……」


 と案内人が言った時、俺の頭にノイズが走った。


『ザ、ザザァ……へ、陛下mお;shぃわkえ……』


 今一瞬、陛下という声が聞こえた気がする。ちゃんとは聞き取れなかったが、恐らくメガネくんか? もしかして魔王城に何かあったのだろうか?


「すみません案内人さん、一度現世に戻ることは可能でしょうか?」


「えぇ、もちろんでこざいます。私はこの場で待っておりますから、いつでもお戻り下さい」


「ありがとうございます。では、ちょっと失礼」


 そういって俺はユグドラシルを降り現世へと降り立った。


 久しぶりの現世で俺が見たのは、以前とはまるで違う世界だった。









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今日ある交通系の予約ミスが発覚。乗る前だったからギリギリセーフですが、それでもまるまる無駄になったから悲しい。前もやっちゃったので学習しない自分にもげんなり。


皆さんが最近やっちゃったミスや、起きた悲しい出来事、予約ミスなどありましたら教えて下さい。コメント欄に悲しみの渦を巻き起こしましょう!

 

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