第1218話 気づけば友情


 その後、ナップに色々と話を聞くと、神様というのは何も、他の神の世界にいって戦って自分の勢力を拡大する、というばかりではないらしい。


 中には自分の世界に閉じこもって関わりを断つ人もいれば、自分の世界の住人とのコミュニケーションを大切にしている神もいるらしい。


 むしろ好戦的な神ほど身の程を知らずに、強い神に戦いを挑み敗北し、呑み込まれるかあるいは消失するらしい。


「そう、だから僕は友達が欲しかったんだ。僕は戦いたくないからね。ってな訳でこれからも遊びに来てね? 絶対だよ? 来なかったら侵略しに行くから」


「お、おう」


 最後の一文が無かったら良いんだろうけどなー。神様だから無碍にできないし、なんならナップ自身の強さについては一切のデータが無いのも恐ろしい。こっちは散々手札を見せられた、というのに。


 こうなると、アレだけ世界を創造する力があるから、そっちにリソースが割かれてて個人の戦闘力は低い、ということを願うしか無い。それでも色々作られて実質戦闘力は高いだろうな。


「じゃあ、俺はもう行くぜ? なんだかんだ楽しかったぜ次はお前のルール上でも完全クリアできるくらいには鍛えとくからな」


「うんっ! じゃ、またね」


 そんなこんなで、長かったような短かったような蒸気の世界に別れを告げた。


 白色に染まる視界の中で俺は、蒸気の世界で起こったことを思い出しながら……


「あ、キューブ」


 俺の右手に未だにキューブが握られていることに気がついた。これ、って原石ほどじゃないが相当なエネルギーを内包してるんじゃ無かったっけか? これ、持って帰っても良いんだろうか?


 *


「おかえりなさいませ」


 お、久しぶりだなこの案内人に会うのも。そう考えるとやはりかなり長い時間蒸気の世界にいたんだろうな。


「いかがでしたか、蒸気の世界は。いささか特殊な世界だったと思うのですが」


「あぁ、楽しかったぞ。友達もできた」


「ほう、それは大変素晴らしいことでございますね。さて、これからのことですが、今すぐ新たな世界へと向かわれますか? それとも一時休憩を取りますか?」


 んー、確かにずっと現実世界を離れてるからなー。一旦帰って魔王城の様子なんかを見に行ってもいいかもしれない。


 ただ、俺としては次の世界も気になるんだよなー。よし、


「次の世界に案内してくれ」


「畏まりました。次の世界は哲学の世界です。こちらも大変興味深い世界が広がっていると思われますので、ぜひ楽しんできてください。では」


 そう言って俺の視界は再び白に包まれた。


 哲学の世界か。なんだか小難しそうな神がいそうだな。


 





『ザ、ザザァ……へ、陛下fな;いえくrj』









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今日は危なかった。

金曜日から予定があるので、連続更新は一旦木曜日までを目標とします!

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