第1217話 微睡の願望
デカい敵は強い、そんな当たり前のことをおれは今痛感していた。
ナップが召喚した機兵はアホみたいに大きく、それだけで上部にある弱点のコアが狙いづらい。だけでなく、敵の攻撃も範囲が大きいから避けるのに必死だ。
今ままではスキルでゴリ押しばっかりしてただけに、スキルがあまり効かない敵にはこういった単純な要素がただただキツイ。
「おいナップ! なんでこの世界の奴らは神様でもないのにスキルが効きづらいんだ?」
「それはそうでしょ、僕が作ったものが簡単に壊されたら面白くないしね」
こっちもそのせいで面白くなくなってるよ、と喉元まで出かかったが、俺は大人だから我慢してあげる。
こういうバカでかエネミーは足を殴れば体勢が崩れるってのがお約束なんだが……
「僕がそんなありきたりなことすると思う? 頑張って倒しちゃってよ!」
だそうだ。いや、あれはありきたりというよりは、そうしないとゲームバランス的に問題が生じるからやってるんだろ。でなければ他に弱点作るもんだぞ? どこにも弱点がなくて、唯一のコアは上部にあるってどんなクソ敵だよ。
「お、ダメージは少しずつだけど入ってるみたいだよー」
とナップの声が聞こえたので、
ーーー1時間後、
「はぁ、はぁ、はぁ。まーじで疲れた!」
俺はただひたすらに敵の攻撃を避けながら、チクチクとダメージを重ね、遂にラスボスを討伐することに成功した。それにしてもラスボスで根性を要求するとは中々の鬼畜だ。
「いやーお疲れ様! まさか本当に倒しちゃうとは! 結構無理めの設定で、戦っている相手の体力が一度ゼロになったら弱点を徐々に露出していくって設計してたのに。これは再設計した方がいいかもだね」
いやいや、負けイベかよ。そりゃ根性いるわな。
「ふぅーこれで僕が作ったものは全部無くなっちゃったなー」
あ、忘れてた。そういえばコイツ今ブチギレ状態だったんだ。どうしよ、普通に器物損壊で訴えられるかな?
「そのーなんだ、俺としてもだな、申し訳ないと思ってはいるが、半分事故みたいなところもあるし、まさかお前の手作りだとは露知らず……」
俺がそうもごもごしていると、
「でも楽しかった!」
「へ?」
「今までただただ自分の理想の世界を作ることだけを考えていたけど、いざ実際に対人戦を考えるとシミュレーション通りにはいかないこともあるってことが、今回良く分かったよ。誰かさんのせいでね」
そう言ってコッチを見る目は怒りというより呆れが多く含まれていた。
「ま、新鮮な経験だったし、これを踏まえてもっと良い世界を作りたいって思えたからまた遊びに来てよ! 今度は一人じゃなくても良いしね。パーティだとどんな攻略をされるのか見てみたい!」
「また来ていいのか?」
「もちろん! 次はもっと楽して面白くて難しくしてるからね!」
「お前は変わった神様なんだな」
俺がしみじみそう呟くと、
「君だけには言われなくない!」
と、返されてしまった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
サブタイはまどろみと読むようです!変換ででてきてほえーってなりました!
難読漢字を読める人ってかっこいいですよね!
小説読んでるからそこそこ読めるだろって思っててもゲキムズなのが無限にあるから大変です()
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます